インフルエンザ・・・(完結)
□第2話
1ページ/1ページ
急遽、行先を変更して喜矢武さんの家へ向かう。
喜矢武さんの家から一番近いスーパーでタクシーを降りた。
果物、おかゆ…明らかに帰れば病人が待っているとわかるようなカゴの中身。
少し、恥ずかしい気持ちになりながらも、自分が食べる分もちゃっかり買った。
もしかしたら、泊まりで看病しなくちゃいけないかも…と思い、ハブラシも買った。
喜矢武さんの家には良く行っている。
実は合鍵なんかも渡されているのだ。
その、合鍵を使って部屋の中へ入る。
部屋の中は、相変わらずで汚いというより、物が多い。
床にはたくさんのマンガ本が積んであった。
そして、何より大好きな喜矢武さんの匂いがした。
鬼「おじゃましまーす…」
小さな声であいさつを済ませると、音をたてないようにテーブルに買い物袋を置いて、寝室へ向かった。
寝室へ入ると、薄暗い部屋の中で喜矢武さんは寝ていた。
きっと薬が効いているのだろう。
少し汗をかいているようで、寝苦しそうにしている。
ベッドの横に座り、顔を覗く。
そっと、額に手をあててみる。
鬼「あ…っ…」
想像以上の高熱にビックリした僕は、喜矢武さんが目を覚ました時にすぐに着替えれるように、すぐ飲み物が飲めるように…と準備を始めようと立ち上がった。
その時、とても熱い手に手首をつかまれた。
喜「……どこいくの?」
驚いて振り向くと喜矢武さんはうっすら目を開けて僕の手首をつかんでいた。
鬼「豊…起こしちゃったね。ごめん」
喜「あー腹へった」
ムードも何もないこの一言に僕は笑ってしまった。
さっきは、どこいくの?なんて寂しそうな顔して言っていたくせに。
おかゆを用意する間、着替えをさせたくて、替えのパンツやTシャツを渡す。
ダルい体を何とか起こして渋々着替え始める。
僕は買ってきたおかゆをレンジで温め、カットフルーツを皿に盛りつけると寝室に向かった。
ベッドでは、さっきとは打って変わって何だか元気のない喜矢武さん。
具合でも悪くなったのかと、心配していたら、いきなり。
喜「俺がゴハン食べて薬飲んだら、お前帰るの?」
もしかして、寂しいのかな?
何だか、しゅんとした顔でおかゆを見つめている。
何だか、たまらなく可愛くて、
鬼「今日、泊まってもいい?」
なんて、柄にもない言葉を発していた。
言った後、すごく恥ずかしかったけど…。
喜「移ってもしらねぇぞ…」
と言いながら、少しづつおかゆを食べ始めた。
恥ずかしいのか、風邪なのかわからないけど、顔が赤くなっていた。
それから、薬を飲んで、少し眠くなったのか、会話が途切れ始めた。
熱も上がったり下がったりを繰り返しているようで、熱を計らなくても息遣いでわかる程だ。
いつの間にか、僕の手はしっかり喜矢武さんに握られていて、動けない。
しっかりマスクをして、僕もベッドにもたれて眠りについた