長文

□恋して愛して(歌×樽)
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【恋して愛して】(樽×歌)





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少し、昔の話をしてもいいかな?




俺には、昔付き合っていた人がいたんだ。
大好きだった。
本当に大好きだった。




可愛いものカッコいいものが大好きで、ちょっとガーリーで…
でも、時々Sな部分も見せてきて…




楽しい事ばっかりじゃなかった。
ケンカもたくさんしたし、たくさん傷つけた。






別れた原因は些細な事だった。
お互い忙しくて、連絡も取らなくなってケンカが増えて…
お互いを思えば思う程、どんどん遠くなっていった。




淳くんが、悩んでいる事さえ気づいてやれなかった。
何度も電話くれて、俺が気付くのを待っていたんだ。
でも俺は自分の事で精一杯で気づいてやれなかった。







そして、淳くんは俺から離れていった。








何度も話し合った。
でも、修復は不可能だった。








別れてからは、俺は仕事に没頭した。
毎日、朝から晩まで働いた。
その時だけは、忘れていられた。





でも、家に帰って暗い部屋に帰ってきた時、ふと思い出すんだ。












付き合っていた頃の事。










帰れば、部屋の電気がついていて、淳くんがご飯を作って待っていてくれた事。
決して上手ではなかったけど、愛情たっぷりのご飯。





洗濯物も掃除も全部、淳くんがやってくれた。









今は、一人にも慣れた。
洗濯も掃除も全部自分でできるようになった。





でも、どんなに洗濯しても掃除しても、この部屋から淳くんの香りが消えないんだ。
ベッドに横になって寝ようとしても、隣で淳くんが寝ているような錯覚を起こすんだ。








今頃、淳くんはどうしているだろうか?
今の俺みたいにたまには思い出してくれているんだろうか…






淳くんのちょっとハニかんだ笑顔。
照れて真っ赤になってる顔。
怒ってほっぺたを膨らませている顔。







すべてが記憶の中にしかないんだ。
あんなに近くにいたのに、あんなに愛し合ったのに。




できるならば、出逢った頃に戻って最初からやり直したい。
無理なのはわかってる。
でも、そんな無理な願い事をしてしまうくらいに、俺は淳くんが恋しいんだ。






また、朝起きれば淳くんの事も忘れるくらいの仕事が待っている。
それでいいんだ。
俺は思い出だけを抱えて生きていく。







今の俺を見たら、君は笑うだろうね。
全部、俺のせいだもんね。
どうか笑ってくれ。











「研二さん…バカだよ…笑っちゃうよ…」











うん。そう思ってくれ。
それでいい。





淳くん…どうか幸せになってね。




〜終わり〜

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