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□アイス食べたい
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「あっちー……とける……」




奴がそう呟いて床に倒れ込んだのは宿題を始めてから30分後。

夏休みの宿題が終わらないからと家に押し掛けてきたわりには、本人に全くやる気がない。




「溶けてる暇があんなら手を動かせ。宿題をすすめろ。」




言っても聞かないのはわかっているけれど、こうでも言わないと自分が報われない気がする。




「床つめてー…気持ちいー…」




「つめてーじゃねーよ、お前なにしにきたんだっけ?」




「だってわかんねーんだもんっ」




むーっとしながら言うそいつに対する溜め息はやまない。




「始めてもう30分もたってんのにまだ5問しか解いてないだろうが!」




「5問も解いたじゃん!」




「全部俺が答えおしえたやつだろ!っていうか田島!
お前辞書は!?」




「ない!」




「お前なぁ……」




ほんとになにしにきたんだか・・・




「あーっ!もういいじゃん!ちょっと休憩しよう
ぜ!」




「まだ始めたばっかだろ」




「だってあちーんだもんよ…」




「そりゃ夏だからな。」




そうでもなければ夏休みな感じもしないし。

まぁ最近の夏はちょっと異常なきもするけど。




「…あ、なんか無性にアイス食いたくなってきた。」




「………」




「ねー花井、アイス買いに行こうよアイスー」




ここで妥協したら、俺の負け。

負けるなおれ・・!




「俺スイカバーがいいな!それかミカンのやつ!」




そんな笑顔でいわれたっていかねーんだからな!




「ねーねーはーなーいーー!」




「・・・っだぁ!もううっせーなっ!買いに行ったら続きやんだぞっ!」




「やった!はやくいこーぜっ!」




満面の笑みを浮かべて飛びおきた田島をみてなぜかどきっとする。

・・・なんでだ?




「はーなーいーっ!おいてくぞっ!」




「ちょ!まてって!」






この不思議な気持ちに気づくのは、

まだもうちょっと先。














(きっとなんだかんだいって田島君にまけてるんだキャプテンは。)
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