小話

□brave3
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ビッグ×ジャンボさんのつもりで書いてたけどランダーズ×セイバーズなら誰でもいける気がしてきた。

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アイセンサーの端を、小さな光がふわりと掠める。何かの見間違いかと思ったが、よくよく凝らして見てみれば、少し離れた清流の辺りにほつほつと、同じような光点が漂っていた。
(蛍、か)
何かと関わることの多い、人間の少女と同じ名の。ゆっくりと明滅するそれは、次第に数を増やしていく。
流れる水音の響く暗い水辺に無数の光が舞う様は、夢のように美しく、けれどもどこかもの寂しい。
見事な群舞に目を奪われながら、この感動を共にできる仲間がここにいないことを残念に思う。映像を送ることはできるけれども、それでは何だかこの美しさを伝えきれない気がした。
できることならこの光景を、いつも空高くから地を見守っている彼に見せてやりたいと思う。空を守護する役目を担う立場上、戦う以外で降りてくることの少ない彼は、地上に生きるこんな小さないのちの光など目にしたこともないだろう。優しい彼はいのちを慈しむことを知っている。きっと喜ぶに違いない。幽かな光をバイザーに映し、白い面を柔らかく綻ばせるところまで思い描いて、そこでふと気がついた。もの寂しいと感じた理由。それはきっと、彼がそばにいないからだ。
蛍が光るのはつがいの相手を求めるためだという。恋うた相手を誘う光にどうやらあてられてしまったらしい。
ふんと笑って回線を開いた。他の誰にも聞かれない、個人的な回線だ。すぐに返ってきたどうしましたかという彼の声に、口元が緩むのを自覚する。

「よぉ、お前さん今どこにいる?」






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