□舞台感想2012
2ページ/2ページ


●ふたたびウキョウさまについて

*クライマックスでウキョウさま「(自分という存在を作り出した天主と世界に)平和という復讐をしてやるのさ!」って…仰るんだけど…ううん…この台詞前まで気にならなかったんだけど何か今回妙に気になったな何でだろ。あれかなヒョーゴ役の人のコメントで「時代背景が作り出した悪」っていう表現があるんだけど、まさにそれだよなと思う。ウキョウさまも望んでああなったわけではないしね。

*それにしてもウキョウさまが望んで作ろうとしていた世界はウキョウに都合のいい、ウキョウに優しい、ウキョウの存在を認めてくれる世界であって、それは決して平和なんて表現で表される世界ではないと思ってたし、そのへんウキョウさまも自覚してるもんだと思ってたんだけどなあ。なんであそこで「平和」?ものすごい皮肉を込めたつもりの“平和”だよな多分…
でも天主も別に平和な世を作りたかったはずじゃないからそもそも“平和”なんてワードが天主ウキョウから出てきたことになんとなく違和感…なのかな…。私の考えが足りないのか。

*水分りさまに自分を殺させ(ようとし)たように見えるウキョウさま。ミヤコのラストで水分りさまがおサムライさまの援護によりウキョウさまと対峙した場面、水分りさまが持った刀をウキョウさま御自ら首にあてがうってのは前回までにもあったっけ?この動きがあるせいか、ウキョウさまが天主になろうとした理由の一端が自殺願望にも思える…とか考えてたらパニックになった水分りさまに「いやあああ!」って斬られて「なんで!?」みたいな顔でよろけてたから、やっぱりあれはポーズなのかなあ。まあ留めは前回から引き続いてカツシロウなんだけど。
まあとりあえず破滅願望はあるよねウキョウさま。

*ウキョウ殺し、について言えば、水分りさまがウキョウさまを斬る場面てうっかりとかついとか弾みで斬ることになるんだったら、そもそも水分りさまが斬る行動は必要なのかなあって思う。初演のときは水分りさまが御自ら刀を構えて殺る気満々だったしなあ…小説だとある意味うっかりだけどあれで水分りさまは完全に巫女でなくなる理由になるし。この舞台だとウキョウさまの狂気っぷりの演出にしかなっとらんような…血を流すのって巫女にとっては致命的な出来事だと思うんだけどなあ…その前の場面でミヤコ戦で水分りさまは自分を巫女ではなく女だと言い切ったけど、だから適当に扱っていいってのはないしなあ…

*カツシロウ「最期に聞く。貴様の名は?」ウキョウ「名前などない!」
天主のクローンであること、血を遺すために誕生させられたこと、愛情の産物ではないこと、がウキョウの歪みの元(自称)なわけですが、どうも最期に水分りさまに農民だったら人間だったら愛してくれるかと聞くあたり、クローンどうこうより無償でそういう愛情をくれる相手が欲しかっただけにも思える。
そんでもってそこで「はい」って答えちゃうあたり、水分りさまは本当にウキョウを人間だと認めてないんだなあとしみじみ思うわけで、なんかこう、切ない。

*世界を語るウキョウさまは結構好きだなあと思った何となく。


それにしても本当に再々々演も期待したいな…


 
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ