他短編

□Once again
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初めて星の伝説を




身近に感じた‥―







Once Agein









ずっと思っていた。



羽衣が見つかっても俺様を置いて行かせやしないと。



羽衣なんて取り上げてしまえばいいと。




そう、思っていたはずなのに。



いつの間に俺はお前を飛び去らせてしまったんだ?



現実を突き付けられた途端、何も出来なくなる。



引き止めることは出来ない。



それがお前の決めた道なのだから。



引き止めるような卑怯な真似はしたくなかった。



お前が先に行くのが怖いわけじゃない。



だが、いざ離れてみると引き止めればよかったと後悔してる俺がいる。



毎日のように感じていたお前の存在を、



今は僅かな瞬間しか感じられず。



触れることは許されない。




初めて、苦しいと思った。



お互いライフスタイルの違いからすれ違う時間。



電話をかけてもお前は出ず



それを気付いたお前が俺に掛ければ、今度は俺の都合が悪く出られない。



触れられず、お前の声さえ聞けない。



繰り返すメールはお前の気持ちが見えてこなくて味気ない。



お前に会いに行くことは簡単だ。



だが、無理をしてまでの待ち合わせはお前が望まないんだよな。



久しぶりに繋がった電話でたわいない話をして、笑うお前の声を聞く。



淋しいとは言わない。



だが、明らかにお互いを求めている。



切れそうになる会話を無理矢理にでも繋ぎとめようと話す俺らの暗黙の了解。



そして切る時、必ず“好き”と残す。



“さよなら”は言わない。



その代わりに“またな”と囁く。



次がいつかもわかっていないのに‥




だが、これも後一ヶ月の辛抱だ。






休みに入ったら、お前に会いに行くから‥






待ってろよ?





夏の風が俺の傍を吹き抜けた。






今頃お前も、この空の下





同じ風に吹かれているのだろうか‥?













End..








2007.07.17





跡部様悲恋チックの甘夢でした。

前回の拍手の続編です。


よかったら1代目も読んでみて下さいね。


では、拍手ありがとうございました。





更新日:2007年9月15日

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