星のカービィ

□仮面の真実
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「フーム…。大丈夫か?」

「な、何とか…。」

怪我はないようだ。それにしても…

「重い…。」

「あっ!ごめんなさいっ!!」

私の言葉に、慌てて立ち上がるフーム。

彼女がどいたので、私も立ち上がろうとして…白銀の物体が床に落ちた。


  カラン


「あっ…!」

「!!」

どうやら倒れたときに仮面のベルトが外れたらしい。

私は左手で顔を隠しつつ、すばやく仮面を拾い後ろを向く。

ベルトをしっかり締めたことを確認すると、フームに向き直った。

「どうした?フーム。」

「…あ、あの…。」


戸惑っているフームを見て、しまったと思った。

顔を隠す一瞬前に素顔を見られてしまったらしい。

さて、どう誤魔化そうか。

色々と策をめぐらせていると、フームが恐る恐る口を開いた。

「あなたの顔って…カービィに似ているわね…。」

「………。」

完璧に見られたらしい。

今更ながらフームの観察力に感心してしまった。

これでは絶対誤魔化しはきかない。

黙っていると、フームの顔に徐々に焦りと後悔の色が浮かんできた。

言ってはいけない事を言ってしまったと思っているのだろう。

「フームは私の素顔を見てしまったのか?」

「えぇ…。」

「そなたが初めてだな。」

「え?」


確認の意味の問いにYES。

だったら正直に自分の気持ちを言うべきだ。

うそ偽りのない、まっすぐな気持ちを。

「私は今まで誰にも素顔を見せたことも、見られたこともない。」

私が想いを寄せる者に…

「だが、フームになら見られても良いな。」

「それって…。」

「二人だけの秘密だぞ?」

私の言葉に、フームのこわばっていた顔が緩んでいく。

「分かったわ。」

そして、私にヒマワリのような笑顔を向けた。



こういう秘密も良いかも知れない。


Fin.
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