星のカービィ

□色々な祝い方
1ページ/1ページ


「メタナイト卿v」

「フーム?!」

何となく部屋の外に出てみたら、フームがいた。

今日はカービィと一緒ではないらしい。

緊張で顔が強張っているように見える。

「どうした?」

「今日は何の日か分かる?」

ホワイトデーでもないし、フームの誕生日でもないし、カービィがこの星に来た日でもないし…。

「…いや?」

「あなたの誕生日よ。本人が忘れてどうするの。」

「あぁ、そういえばそうだったな。」

「そういうことで、お祝いさせてねv」

そう言って、フームは隠し持っていたケーキの箱を持ち上げた。



「メタナイト卿〜。ここのテーブルを使っていいかしら?」

「うむ。」

テーブルの上に手際良く広げられていく、お皿とフォーク。

「私も何か手―。」

「あなたは主役なんだから座ってて!」

「はい…。」

手伝おうとしたら、睨まれてしまった。

いつになく気合が入っているようだな。

「誕生日パーティか…。久しぶりだな。」

「ソードとブレイドとはやらなかったの?」

「忙しくてパーティを開く暇がなかった。」

「へぇ〜。」

喋りながら自分とフームのカップに紅茶を注ぐ。

このぐらいなら怒られないだろう。

ふと横を見ると、フームがろうそくを持ったまま何か考え込んでいた。

怒られる…か?

「メタナイト卿。」

「む?」

「今日で何歳になるの?」

何だ、そんなことか。

思わず胸を撫で下ろした。

「1万歳だ。」

「そう。…えぇっ!?1万歳!?」

「そんなに驚くことか?」

「どう見ても20歳ぐらいにしか見えないけど?」

「星の戦士は不老だ。まぁ、不死とまではいかないがな。」

口を開けたまま固まるフーム。

何時もの彼女からは想像できない表情だ。

こういうのも、なかなか可愛いな。

「どうした?」

「どうしよう…。ろうそく、1万本もないわ。」

「手持ちは何本だ?」

「20本。困ったわ…。」

「それだけで良かろう。」

私の言葉に、フームが不満そうに頬を膨らませた。

そんな彼女を宥めるように言葉を続ける。

「何も無理して歳の数を集めなくても良い。」

「でも…。」

「大切なのは、祝う者の気持ちではないのか?」

「そうね。」

フームはクルッと振り向くと、満面の笑みを浮かべた。

「メタナイト卿、お誕生日おめでとう!大好きよ!!」

「…あ、ありがとう。」

プレゼントと評したキスが甘かった。


fin.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ