星のカービィ

□ホワイトデーには
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三月十四日、ホワイトデー。

一般的にはバレンタインデーのお返しをする日とされている。



「だって、カービィ。」

「ぽよ?」

フームの言葉に首をかしげるカービィ。

何を言われたか良く分からなかったらしい。

独り言に近い形で話していたので、返事は期待していなかったが。

首を傾げているカービィの頭を撫でながら、フームは少し遠いところを見ていた。

「ホワイトデー…か。」


フームがバレンタインデーにチョコをプレゼントしたのは五人。

そのうち一人には本命チョコをあげている。

おそらく相手はそのことに気が付いただろう。

そうすると彼の性格上、お返しをしないではいられない。

「まさか、ね。」

台所に立って料理をしている彼の姿を想像したが、ありえないことだと思いその可能性を消した。

期待していると、外れたときのショックが大きい。

フームは小さなため息をつくと、下を向いた。

その拍子に、カービィを撫でていたはずの手が宙を切った。

「あれ?カービィ?」

先程まで目の前にいた筈だが、いつの間にかいなくなっている。

あたりを見渡していると、
すぐそばの台所が騒々しいことに気が付いた。

不思議に思って中を覗いてみると―


  ガッシャン


「こら、待て!カービィ!」

「ぽっぽよ〜♪」

台所からクッキーを大量に口に含んで逃げるカービィと、慌てて追いかけるメタナイトが出てきた。

まさにドカドカという擬音がぴったりな勢いだ。

「メタナイト卿っ?!」

「フーム…っ!?」

フームの姿に気が付いたメタナイトは、慌てて急ブレーキをかけた。

しまった、という顔をしている。

その隙にカービィはフームの後ろに隠れた。

「カービィを追いかけているなんて、珍しいわね。どうしたの?」

「カービィに、私が作った料理を吸い込まれてしまってな」

「料理?」

「これのことだ。」

そう言ってメタナイトは、懐から綺麗にラッピングされた包みを取り出し、フームの手に置いた。

「え?」

「今日はホワイトデーだろ?」

茶目っ気たっぷりにウインクしてみせるメタナイト。

「本当はもうちょっと雰囲気を盛り上げたかったけどな」と小さな声で付け加えたが、フームの耳に届いていない。

反応がないので不安になっていると、いきなりフームが抱きついてきた。

「!?」

「ありがとう、メタナイト卿!!」

返事の変わりに、メタナイトも想いを込めておもいっきり抱きしめた。



Fin.

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