秘密のお部屋

□商人と姫様
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「アリーシャ姫、是非とも私(わたくし)めと共に人生を歩んでいただきたい」
「わ、私は…」
「後悔はさせませんとも。後世にも残る、良き思い出を作りましょう」
「…ロゼ?なんか近く…、っ」
「それとも私めは、お相手するには値しないと…?アリーシャ姫」

なんやかんやでノリノリになってきたロゼは、更にアリーシャに詰め寄る。
それだけならまだしもアリーシャの顎をくいっと上向きにさせ、反対の手で腰をホールドする。

「ま、待ってロゼ!これ以上は…!!」

近付いてくる唇にアリーシャは慌ててロゼの肩を押すもビクともしない。
そこはさすが腐っても暗殺者である。
やがて二人の唇の距離があと数センチという所まできて…

「……なぁんてね」
「ふぇ…?」

距離はそのままに、額と額がコツンと触れ合った。

「じょーだんだよ、冗談。ハジメテは演技じゃなくて、ちゃんとしたムードがある時にしたいしね」
「……………………」
「……姫様?」

黙り込んでしまったアリーシャにロゼは少し離れて様子を窺うと、顔を真っ赤にさせたまま気絶していた。

「え…ええっ!?ちょっと、姫様!?」

異性どころか同性にも対して、アリーシャが耐性を持つのはまだ先なのかもしれない。




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