東京都赤塚区

迷走アンビバレント
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「このクソ童貞!」

今日も俺はいつものようにチョロ松を罵倒していた。
だけど、

……今日のアイツはいつもと違った。


いつも通りなら笑っ…いや、それなりに否定してくるはず。呆れられたかな、とも思ったけど、今日のチョロ松はなんかおかしかった。



『じゃあさ、兄さんは童貞じゃないワケ?』
伏せ目がちに、そう言い放った。


―――――――

「んっ…ほら、おそ松兄さん…」

艶っぽい声が部屋に響く。

目の前はパーカーを脱いでシャツの前を全開にしているチョロ松。片方の手で俺の手を握り、自らの胸の上で滑らせている。

「っこら、チョロ松!」
「何…?兄さんが僕を馬鹿にするからいけないんだろ。ちゃーんと、『童貞』じゃないって証拠、見せてもらわなくちゃ」

(誤解しないで頂きたい。あまり強調したくはないが、俺だって一応童貞である。)


「んだよ、….チョロ松お前、もしかしてこれか?」
右手を左頬の横で反らして見せるけれど効果ナシ。
「そんなことどうでもいいでしょ。ほら、もしおそ松兄さんが『童貞』じゃなければ、どうすればいいかくらいは分かってるよね…?」

流石は血を分けた弟、一々憎たらしい物言いだ。

事実、とはいえ『童貞』『童貞』とこうも連呼されては癪に障る。弟にのせられているような気がしてなんとも腑に落ちないが、“兄”としてのプライドくらいはある。
色んな意味で…



「ねぇ。お・に・い・ちゃ・ん…?」


嫌味たっぷりにそう言われて、
俺の中の何かがキレた。


「痛っ……!」
勢いよくチョロ松を壁に押し付ける。

「ま、お前みたいな処女には?セックスがどんなものかなんて知る機会も無いよなぁ!…チェリー松ちゃん…?」

俺だって詳しいことは知らない、けど引き下がるわけにもいかないから大分前にコンビニで立ち読みしたいかがわしい雑誌の情報を何とかして思い出す。

少し困惑した表情のチョロ松が口を開こうとする。それをさせまいと自分の口で塞いだ。

「んんんーっ!!にいさ…っ」
待ってました、とばかりにチョロ松の体が反応したのは気のせいだろうか…


ワイシャツがずり落ちて、白い肌が露わになる。

「ほら、口開けて舌出せよ」
「…は…ん、ぁ、…ふっ…//」
「何?キスだけでこんなに感じてんの、お前。ほんっと、チョロ松はチョロいなぁ」

チョロ松のソレはゆっくりと持ち上がり、ジーンズの上からでもすぐに分かる程反応していた。
乳首をくりくりと弄りながらもう片方の手でファスナーを降ろす。

「やっ、あ…..//兄さん…」
チョロ松のソレが外気に晒される。直に触ると先走りでぬるぬるとしていた。触っただけなのに、薄い肩がビクリと跳ねる。

「ちゃんと足開いて」

自分の両膝でチョロ松の脚を固定。にしてもジーンズ邪魔だなぁ、なんて考えてたら、それが伝わったのか顔を赤く染めたままコイツは自分から脱いだ。
流石は6つ子、テレパシー的な何かがあるのかもしれない。
「後で掃除しなきゃ…」と呟きながらゆっくり下着を降ろし、チョロ松はすっかりワイシャツだけになってしまった。

変に真面目だよな、本当。
「いーよ、それくらい俺がやる。つかどうせお前、立てなくなってるだろ」
「え、あ、…そんなに、ヤる気?//」

んなこと言われたから自分で言っといて若干赤面した。まぁでも、コイツとするのは嫌じゃなかったし、そうなれて嬉しいと思う気持ちもあった。
そーだよ、何か文句ある?と言いつつ、開かれた股の奥の方へと手を滑り込ませる。

「ひゃ//」

え、何、今の女みたいな声コイツが出したの?
チョロ松が咄嗟に自分の口を塞ぐも、顔はますます赤くなるばかり。それに…
「ねぇ、チョロ。もしかしてお前、童貞捨てる前に処女捨てちゃった?ほら、指だってすぐに入るしさぁ」

いくらゆっくりいれたとはいえ、男なんだから流石におかしいだろ。俺だって痛くて入らないよ…入れたくもないけど。

すんなり3本の指を飲み込むもんだから、本当に誰か知らない男とヤってんじゃないかと思えてきた。何故かイラつきもする。
だけど、ナカで指を動かしたときに、火照った顔で小さな涙の雫をぽろぽろ溢すチョロ松はとても可愛く思えた。長兄としての何かが疼くような気持ちとはまた違うものだった。


「っ…してないよ」

「え?」

「兄さんのこと考えて、一人でしてた、…から」
その言葉はあまりにも唐突すぎて俺の頭は一瞬真っ白になった。

思わず硬直してしまった手にそっと手が被せられる。そのまま手は俺の中心部へと移動し、チョロ松は荒い息を吐きながらゆっくりと言葉を紡いだ。
「兄さんだって、…勃起してるじゃん…」
ちょっと、嬉しそうな声音だった。

「るさい。…悪いかよ」
「いやー?人のこと言えないでしょ、って思って。男相手に勃つとか、兄さんは…」
「俺は、何?」

「別に。何でもない」
「あっそ、なら良いけど…。今はこれに集中しろよ」
耳元で囁くと、チョロ松は力なくふぇあ、と溢した。

ずるずると床に押し倒して上に覆いかぶさる。
「おそ松、もう挿れて…?」

ぐっ、こういう時だけ名前で呼ぶのは卑怯だと思う。とはいえ、俺もそろそろ我慢できないのでファスナーを降ろした。そこから自分の性器を取り出してチョロ松の入り口に宛がう。

「っ…痛かったら言えよ」
「…一応心配はしてくれるんだ」
「そりゃあお兄ちゃんですし?」

ゆっくりと体を沈めていく。指で慣らせても流石にちょっとキツい。

「ん…兄さん、これ…」

渡されたのは小さなボトル。脱ぎ捨てられていた黄緑色のパーカーから出てきた物だった。中身が何だか分かると、適量を手に取って接合部に馴染ませる。滑りやすくなったおかげで一気に奥までねじ込むとチョロ松が嬌声を上げる。
「ああああっ!はぅ、…っん...」
口をぱくぱくさせている、可愛い。

「動くぞ?」
「あ、あっ、は、っ…ん、んぁ」

何故だかわからないけど、少しの罪悪感も覚えなかった。
禁忌?兄弟とのセックスがダメなんて誰が決めた。でもまぁ誘ってきたのはチョロ松なんだから、何かあったらコイツのせいにしよう。なんていう考えもとっくにどこかへ行ってしまった。

目の前で喘いでいる一人の弟を見るたび、こんなに胸が締め付けられるのは何故なんだろう。
俺のパーカーをずっと掴んで離さないところとか、喘ぎ声に交じって「気持ちいい」っていうのも勿論だけど、何気ない仕草や偶に見せる笑顔とかを可愛いと思うのは今に始まったことじゃなかった。気づいたら何故かコイツを目で追っていた。
弟たちは皆好きだ、だけどチョロ松に関しては少し違う意味の感情を抱いていた。

「…チョーロ」
「そっちで….呼ぶな、っあ、ぁ…」
接合部は一層締まり思わずイきそうになったが、流石にそれは兄としてのプライド云々が許さないので必死に耐えた。チョロ松の胸に顔を近付けると、耳を当てなくても聞こえる程の心音は、俺と同じほどドキドキしているのが伝わってくる。
嬉しくてついつい顔がニヤけてしまう。「えへ…♡」と声を漏らすと、「大きくさせんな、ばか」と言って怒られた。可愛かった。

もうそろそろ限界かな…なんて思った途端、チョロ松から声が掛かる。
「ふ…、おそ松…にぃさ…っ」
「なーに、チョロま…」
答えようとしたら口を塞がれた。軽い口付けだった。
「兄さんが…兄さんが好きで、堪らないんだ」

実を言うと、俺はチョロ松の気持ちを知っていた。一応兄貴だし、他の4人を含め弟たちのことは何でもお見通し。
自分の中に変な気持ちが芽生えていくのを自覚したのも同じ頃だった。
相棒じゃなくて、恋人がいい。
だけどそう簡単に事は進まない、って云うのも勿論分かってる。男同士だし、兄弟だし、しかも同じ顔を好きになるとか、周りの人からどんな目で見られるだろうか。

「でも、男同士だしさ...」
お前もどうせ今同じこと考えてるだろ?って言われた気がした。どことなく、切なげな声音に胸が締め付けられそうになる。

深く息を吸い込んだ後、しがみついていたチョロ松の手を引きはがし、ゆっくりと指を絡める。
両目でしっかりチョロ松を見据え、言った。
「別にいいんだよ、俺は。兄弟がエロくても変態でも平気って言っただろ。ゲイでも何でもいい。俺がお前を好きで、お前が俺を好いていてくれるなら、俺はそれでもいいと思ってる。」

伏せていた目が大きく見開かれる。
「え、兄さんも、僕のこと...」
「...そうだよ、俺はお前が好きだ」
たった二文字なのに何でこんな恥ずかしいんだろうと、素直じゃない自分を責めた。

「兄さんてさ、たまに本気でかっこいいとこあるよね」
真っ赤になりながらそういうチョロ松に再び下半身が反応する。また怒られるかと思ったが、両手を俺の背中の後ろに回し「いいから、早く」と耳元で囁かれたため、そのまま快楽に溺れていった―――


------
「兄さんってさ、...ゲイなの?」
「はぁあ!?んなわけねぇだろ!いくら俺がセックス上手いからって、男限定とかないだろ!」
「はっ!?ばっ、ばっかじゃねぇの!?!??誰も翻弄されたとか言ってないし!本当デリカシー無い!!!!」
「どーせ俺はバカですよー!」
「開き直んな!!」

昨日は珍しくエロ――いや、可愛いところが見れたと思ったらもうすっかりコレだ。
「......じゃあ女の人とはあるんだ」
何気なしにそう言ったように見えたが、拗ねているのか唇を尖らせていた。
「あー…チョロが初めてだよ」

そう言いながら後ろから抱きしめると、「良かった...」と呟いて微かに微笑んだ。




―――――――――
疲れた...長かった。小説を書くのは久しぶりなので文章おかしなところとか、頭悪そうな表現(?)もあったと思いますが、最後まで読んで頂いてありがとうございます!
精進したい...誰か私に文才とおそチョロを下さい全然足りませぬ^q^

名前で呼び合うのいいよな〜とか、最中の表現がいつも同じすぎて嫌になってくる、とか言いたいことは色々あるのですが、とりあえずこの話が書き終わったので今設定を練っている「吉原松」を書きたいと思います。いつになるか分かりませんが待っててください...
絶対書きます......
感想など頂けたら幸いです!長くなりましたがここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました!!


 

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