薄桜鬼 現パロ
□残業
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ーーーカタカタカタ
無機質な音が人も疎らなオフィスで鳴り続ける。
時計は午後9時を指していた。
「なあ、そろそろ切り上げねえ?」
同期入社の藤堂平助が声を上げると同時に私の集中力が途切れた。
「平助に賛成!」
両手を広げ背中を伸ばしながら私も帰りたいことを主張する。
何が悲しくて金曜日に残業しなければならないのだ。
そもそも私は予定があったのに。
仕事とはいえ、久しぶりに会えるはずだった付き合っている彼との約束を、キャンセルしたことは不満だったわけで。
今日は大事な話があると言われていた。付き合っている期間もそれなりに長く、お互い世間では結婚適齢期だなんて言われる年齢だしこれはもしかして…なんて浮かれていたのに。
「なまえちゃん」
声を掛けられたほうを見ると沖田さんが立っていた。