境界の彼方:完結

□晴色
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「ありゃ〜コイツは大物だね!」

目の前にはスライムのような形のない紫色をした妖夢が5体に『分裂』していた
廃ビルの中には空士以外にニノさんがいて『分裂』させた張本人だ

「あたしの力だと相性が悪いから倒してくれるかしら?」

「わざわざ聞かなくても倒しますよ、報酬はあげませんので」

その後ニノさんが奇声を上げて抗議したのはいうまでもないがこの面倒な状況を作ったニノさんには容赦しなかった

因みに報酬は13万円だった



「ふぁ〜・・・・イデッ!」

「こぉら〜?人がせっかく教えてあげているのに呑気に欠伸とは余裕だね桜庭君?」

「誰のせいで寝不足になったと思っているんですか二ノ宮先生?」

「なっ!?」

空士の言った言葉で教室は一気に騒がしくなった

「二ノ宮先生と桜庭君って付き合っているの?」

「空士に限ってそれはないだろ?な?」

「本当の事を言えよ桜庭、二ノ宮先生とどうなん?」

弁明するのが面倒だったが残りの学校生活、ニノさんの教職員としての立場がとても危うくなったので仕方なく弁明する事にした

「酒の席で絡まれたんだよ、夜遅くまで居て散々愚痴を聞かされて挙げ句の果てに酔いつぶれるし・・・解放されたのが1時過ぎてなんだよ・・ふぁ〜〜」

「実はその後よろしくしたとか??」

空士にしつこく聞いてきたクラスメイトはエロい事で有名な奴で食い下がってくるが空士とニノさんはそんな関係ではない
空士には秋人がいるし!

「俺、年上興味ないかブッ!!」

無難な答えを選んだと思ったらニノさんがチョークを飛ばしてきた
当たり所が良かったのかそのまま意識を手放した

「空士?空士ー!!大丈夫だ!まだ傷は浅い!今助けブフッ!?」

「まだ授業中!ほら二ノ宮先生に謝りなさいよ!」

気絶した空士を起こそうと近寄ってきたのはミリタリーオタクで体を揺すっていると後ろからクラス委員長が教科書を丸めてミリタリーオタクの頭を叩いた

その後学校が終わるまでニノさんは額に青筋を浮かべていたのは言うまでもない


文芸部の部室の前まで行くとドアの前で美月が立っていた

「どうした美月?なんで入らな・・・?」

『・・・してみろ!大人数に囲まれセンターでかわいい服に身を包みマイクスタンドに跨がる妹の姿を!!』

「・・・・・・・・・」

今日も今日とて二人は変態談義に花を咲かせているようだ
すると美月が耳元で何かを空士に呟いた

「細かいのとは気にしないさ」

「壮観だな・・!」

「だろ〜!」

「そこの変態共」

「変態談義は本人の居ないところで話してくれ、不愉快です!」

「「うわあぁあぁああ!!??」」

美月が呟いたのは空士の幻覚で姿を消して忍者のように現れる、ということだ
それは成功して秋人と博臣は後ずさるほど驚いた

「栗山さんは?」

美月は短く聞くと秋人が答えた

「今日はうどんの日だから多分・・」

「うどんの日?」

「うどんが出来た日なのか?」

聞き慣れない言葉に美月と空士は頭に?を浮かべた

「うどん屋八兵の月1の恒例行事さ、150円で釜揚げうどん食べ放題!」

「ふ〜ん、それより秋人」

「なんだ?」

「責任は自分で取りなさいよ」

「えっ?」

何を言っているのか理解するのに時間がかかった秋人は空士の方に顔を向けると笑っていた、ただ秋人は直感で分かった笑っているけど凄く怒っていることに

「空士・・・?あの〜」

「別に気にすること無いさ、栗山さんが入部して大分経つし予定を知っていても不思議じゃないからね。同じ部員でも俺は野球があるから知らないのも当然だよ。屋上で刺されたときから栗山さんの事気にしてたのも知っているから秋人は何も気にしなくてもいいぞ」

言い終わった空士は終始笑顔だった
その事に秋人は益々やってはいけないことをしでかしたことの重大さを理解していった

空士が怒っている理由は単純、嫉妬、だ
心の中からドロドロしたモノが溢れるのを感じた、その事に喜びさえも感じた

(嫉妬してしまうほど秋人のこと好きなんだなぁー俺、秋人が誰かと話していても平気だったのになぁーなんでだろ?)

「空士!ごめん!ホントごめん!」

空士前で手を合わせながら謝る秋人

「ん?なんで秋人が謝るんだ?さっきも言ったじゃん同じ部員なんだから知っていても不思議じゃないって、秋人が謝る理由なんて無いんだぞ」

「アッキー取り敢えずこういうときは屋上で話すのが男ってもんだぜ」

「邪魔だから消えて」

美月の毒を無視して博臣のアドバイス通り屋上に行こうと空士の手を取って部室を出た
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