境界の彼方:完結

□萌黄の灯
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虚ろな影の一件から日が経ち俺は今日も放課後の部活動に汗を流しながら練習をがんばっている

丁度休憩している今校舎から秋人たちが出てきた、そのまま校門を通った

(もう帰るのか?…ずりぃー)

分かっていたとはいえ野球の練習は思っていたよりハードで
サボりたいと思ったのも数え切れないほどだ
そんな中秋人たちは先に帰ってずるいと思わないほど空士も寛大ではない

「ありがとございましたぁー」

キツかった練習も終わり部室で着替えていたら
空士とバッテリーを組んでいる中宮藤堂(なかみや とうどう)が近くに来た

「桜庭、今日暇か?これから焼き肉食いに行くんだけど桜庭も来るか?」

後ろをみると他にも数人行く気のようだ
特に用事も無いから行くと伝える
彩華にもその旨を電話した



「お待たせしました、塩カルビ肉と牛タンに豚トロです。」

目の前には肉と野菜が沢山並べられた

「おい、一つ聞きたいが、割り勘だよな?」

「「「「…………」」」」

どうやら空士に殆どを払わせるつもりのようだ

「言っとくが俺の財布には8000円しかないから、
ちゃんと均等に分けようなぁ?」

「ヒデーーいいじゃん金沢山あるくせに!」

「沢山もないよ!決まった金しかくれないんだから
沢山あるように思えるのはおまえ達が無駄遣いしてるからだろ?」

「だ‥だけどよー」

「みんな等しく割り勘!」

これを最後に観念したようだ
異界士の仕事はあくまでアルバイトのように思っている
アルバイトにしては稼ぎすぎのような気もするけど
余りにありすぎると怪しまれるから普段は月に15000円
としている、それでも多いかもしれないけど
今までは逃げては狙われ、逃げては狙われ、と引っ越すばかりで荷物は無いに等しく興味のあるものはほとんど無い
けど、この町に来て安住の地を手に入れてもいままでの癖は抜けず自室の物は少ない
それでもほしいと思ったものは買ったけど
お金は使い道が無い・・・・
だからみんなからは「趣味が無いやつ」とか「損をしてるなー」とかよく言われる
そこはら辺はテキトーな理由で納得してもらっている

(モグモグ…塩カルビ旨いなあ…!あれはニノさんに美月と栗山さん?……ニノさんの愚痴でも聞かさせられるのか?)

「ちょっとトイレ」

「長くていいからなー後は俺達が食うから!」

「肉がうまくて箸が止まんないよー」

「俺の分も残しといてね?残ってなかったら……ケツバットか金蹴り、ね?」

トドメに微笑むと皆、顔がみるみるうちに青くなった
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