短いの
□こっちを向いてはくれないくせに
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※片岡出てきません
友達に、彼氏が出来た。しかも、私の誕生日に。私にも経過を話してくれていた人かも知れない。もう付き合ってかれこれ3ヶ月ほど経つみたいだ。その子には悪いけど、何だそれ、最悪じゃないか。
『へえ、付き合ってたんだ!おめでとう!』
「えへへ、ありがとう。ごめんね言うの遅くなって」
『いいのいいの!最近あんまり話せてなかったしね。ちなみにさ、分かってるけど相手、誰?』
私が学生時代に好きだった“彼”ではないだろうと勝手に憶測して、にこやかに笑う。思いがけない言葉が返ってきたのは、その数秒後。
「片岡くん」
『へ?』
片岡くん。片岡治大くん。何より、私がずっと想いを寄せていて、卒業式に告白すると意気込んでいたにも関わらず結局告白出来ずに終わってしまったあの片岡くん。
「私から告白したら、OKくれたの。すごいでしょ」
『すごい、ね…』
そういえば、学生時代今私の目の前にいる“親友”も、片岡くんに想いを寄せてたんじゃなかったっけ。ことあるたびに私に片岡くんの好みを聞いてはどんどん片岡くん好みの女の子になっていく。その情報、全部私が調べたことなのに。ひどいのね、私の方を向いてはくれないくせに、この子にはあっさり振り向いて。浅はかな嫉妬だと分かっている。私は、椅子の下に隠した握り拳をぎゅう、と更に強く握りしめた。
こっちを向いてはくれないくせに
(あの子の方には向くんだね)
お題拝借 確かに恋だった
20141021