短いの

□雨
1ページ/1ページ



ぽつぽつと窓を叩いていた雨は、次第に強くなりざあざあとま窓を叩き始め、地面に落ちていった。たまに、雨を1人で眺めたくなるときがある。



「またここにいたのか」

『だって、雨見るの好きだから』



声の主は分かりきっているから、あえて振り向かない。振り向かないとふいに頭に乗せられるごつごつとした大きな手。その手はするすると私の髪を撫でていく。



『泣いてるみたい』

「ん?」

『雨って、空が泣いてるみたい』

「…そうだな」



頭を撫でるマックさんの手の動きはやまない。



『マックさんは、泣かない?』

「泣かないな。泣いてるとこは見せたくないから、」

『じゃあ、泣いてくれてるんだ。空が、マックさんの変わりに』

「…そうだな」



無意識に、泣いていたらしい。頭を撫でていた手は、私をマックさんの中にひ引き寄せていて、すっぽりマックさんの中に収まる。ああ、寂しいのか、悲しいのか。



『マックさん、大好き…です』

「ああ、」



ふとマックさんを見上げると、優しく微笑んでるような気がした。




20141001




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ