短いの
□雨
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ぽつぽつと窓を叩いていた雨は、次第に強くなりざあざあとま窓を叩き始め、地面に落ちていった。たまに、雨を1人で眺めたくなるときがある。
「またここにいたのか」
『だって、雨見るの好きだから』
声の主は分かりきっているから、あえて振り向かない。振り向かないとふいに頭に乗せられるごつごつとした大きな手。その手はするすると私の髪を撫でていく。
『泣いてるみたい』
「ん?」
『雨って、空が泣いてるみたい』
「…そうだな」
頭を撫でるマックさんの手の動きはやまない。
『マックさんは、泣かない?』
「泣かないな。泣いてるとこは見せたくないから、」
『じゃあ、泣いてくれてるんだ。空が、マックさんの変わりに』
「…そうだな」
無意識に、泣いていたらしい。頭を撫でていた手は、私をマックさんの中にひ引き寄せていて、すっぽりマックさんの中に収まる。ああ、寂しいのか、悲しいのか。
『マックさん、大好き…です』
「ああ、」
ふとマックさんを見上げると、優しく微笑んでるような気がした。
20141001