長いの

□人見知りちゃん、知る
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片岡さんの後ろを追って、どれくらい時間が経っただろうか。数十分くらいなのかも知れないけど、結構時間が経ったように感じる。そろそろ目的地に着いてもいいんじゃないかと思った矢先に、目の前にネットらしきものが目に入る。片岡さんは関係者入り口から入っていってしまったから、もう後を追うことは出来ない。ここ、は…?何かの練習場?球場?きょろきょろと周りを見渡しながら歩いていくと、数人の女の人たちがネットの先を見てきゃあきゃあ言っているのが見えて、その女の人たちと同じ目線に行こうと思い足を運ぶ。



『球、場……?』



目の前には、グラウンドが広がっていた。グラウンドには、既にどこかのチームのユニフォーム姿の数人の人がいた。



「もうすぐ練習始まるね〜!」

「ね、楽しみー!」

「今日こそヤスくんのサインもらえるといいね!」



きゃあきゃあと騒ぎ立てている女の人たちから出てくる“ヤスくん”という名前。



「よろしくー、俺、片岡治大っていいます。みんなからは“ヤスくん”とか“ヤス”って呼ばれてます」



初めて会ったときに片岡さんがしてくれた自己紹介を思い出す。自分で、みんなから“ヤスくん”って呼ばれてるって言われてたっけ。“ヤスくん”って呼ばれてるのは、特にファンからなんだ。…じゃなくて!



『片岡さんって、』



小さめながらも球場。片岡さんが所属していると思われるチームのユニフォームを着た数人の人たち。片岡さんのニックネームである“ヤスくん”と片岡さんのことを呼ぶ女の人たち。もしかして、もしかしなくても。



「あっ!選手たち出てきた!」

「今日も頑張って〜!!」



プロ野球、選手だ。








人見知りちゃん、知る

20151113


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