妄想中

□強く
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強く


「おい!!ナナ!!

早く掃除を終わらせろ!!」


「はい!!今すぐ!」

(逆らえるはずない…

私はこの人たちと作りが違うんだ)


この国では、

金を持っている人は偉く。

金を持っていない人は価値がない。


金がない人間は教育を受けれない為、

一生奴隷か餓死、病気にかかりいずれかは死に至る。



「おいナナ、なんだに?これは?」

主人が花瓶を指さす。

「え?あの…花瓶です」

「ああ、花瓶だ。

この花瓶についているほこりはなんだに?」


「あ!すみません!」


ゴンッ!


ガシャン!!!


「きゃああ!ぃった…」


花瓶でナナの足の上に落とした。


「もういらんわ。

汚くなったモノはこの家に置いておく必要はないだに。

…ったく!役に立たない女だに…」


「すみません。なんでも致しますので…

殺さないで…ください」


「ふんっ!

若い娘の奴隷は中々売ってないからな、そうそう

殺さんわ!

あとでチー(ティ)を持ってくるだに」


「はい、かしこまりました」


………カチャ…カチャン


「はや…く片付けないと…グス……ひっ…

んん!!」

ゴシゴシゴシ!!

(泣かない泣かない!泣くな!!

……よし!片付けた!!

紅茶の準備しないと!)


――――――その頃、港では…



「し・ま・だーーーーー!!」


「ちょっと〜観光じゃないのよ?

メリーのメンテナンスするだけよ」


「おお、このウソップ様がちょちょいのちょいっと!」


ぼきっ!!


「………」

「…………」

「おれ…遊んでくる」

「食糧調達に…」

「………」


――――――


「すんげェ〜な〜!かっこいい城みてェな家ばっかあんぞ!!


……ん?

いい匂い〜〜…」



――――

「よ〜しよしよし、サルオ…お腹すいたでしょ?お食べ!」


ナナの住んでいる建物の近くに山があり、

そこからサルがよく来る。

主人がよく残す肉などをあげているのだ。

「キッキッキ♪」


「う…うきっきっきき」


「よしよ〜…に…!!人間!!?」


「お?ばれた!!」


「いやいやいや…こ…こんなところで何を?」


「なんかいい匂いがしてよ〜」



「よだれが……

まだお肉あるので……どうぞ」


「いいのかァ!!?


うううんんめェ〜〜〜!!

この肉ゲロうま!」



「ふふふ…

あ!もう戻らないと!

ごめんなさい!じゃあ!!」


ったたた…バタンッ


「ウキィ〜」

「おいサル!お前のもくれよ!」

「キ!?キキキ!ウッキッキキ!!」


「あ〜〜?何言ってっか分かんねェぞ」

「キッキキ!」

ばくっ!

「ああ〜〜〜!!

一口くらいくれよ〜〜!!!!」


「ウッキキキ〜♪」



―――――――


「面白い人だな♪」



(早く紅茶を持っていかないと!!)



――――――――

「お待たせいたしました。」


「おっそいだに。

もういらんだに。出かける!!」


バタンッ!!


(…………ラッキー♪


あの人…まだいるかな?)



たたたたたっ…



カチャ…



「あ!」


「ん?

あ!肉くれたやつ!」


「ウギギギギ!!」


「な!なに喧嘩してるんですか?

サルオのこといじめないでください」


「ウッキ〜!キキッキッキ!」


「あー!!お前!!ずるいぞ!サル!」


「くすくすくす…サルオまたね!」


「ッキッキッキ〜!!」



「ちくしょ〜いっちまった!」


「あの…」


「ん!?

お!さっきはありがとな!

お前良い奴だな〜!!」


「いえいえいえ!」

「お前ここに住んでんのか?」


「一応…私はこの家で10年、お手伝いとして働いているのです」

「10年〜?なげェな〜!

冒険とか散歩とかしねェのか?」


「できませんよ〜主人のために働かないと…

私、価値がありませんから…へへへ」


「何言ってんだ?

価値がねェとか難しいこと言うなよ〜」


「あはは!

あ…あの、旅のお方ですか?」


「おれはルフィ!

海賊王になる男だ!」


「え?ふふふ…面白いですね。

なれるといいですね」


「なれると…じゃねェ!なるんだ!」

「ルフィさん…すごいですね」


「おめェなんて言うんだ?」


「私はナナです。

………いつか、この国をでて…

違う島で価値のある人間になりたい」


「価値ってなんだ?」


「え…えっと…値打ちがあるか?

すばらしいかどうか…かな?」


「ふーん…おめェはすごくねェのか?」


「私なんて…!お金もないし…頭もよくないし…

全然すごくない…」


「ふーん…でも、お前の作ったあの肉、うまかったかどな!」


「そんなことないです!」

「そうかー?

まァいいけどよ!もうねェのか?

あの肉!」


「あ!あります」


たたたたっ…


ガチャ…


たたたたたっ



「ど!どうぞ!!」

「おおおおー!うんまほォ〜〜!!」


ガツガツガツ!!

「すごい…あっという間になくなっちゃった…」

「しししし、あー!食った食った!

ありがとなー!」


「ふふふ、はい」


「おおおおい!!!!!

ナナ!!そこで…何してるだに?」


「だに?」


「す…すみません!すぐに戻ります!」


「もうとっくに帰ってきてるだによ!!!!」

ガンッ!!

「きゃ!……ぃっつ…」


主人に頭を殴られ…


「おい!何すんだてめェ!」


「ルフィさん!…やめて」


「何だにこいつは!!ムキー!!」


ガンガンッ!!ドガッ!!

腹…足を踏まれてしまった。


「ゲホゲホッ!!……っ…」


「おい」

ドガッ!!!!


「ふんぎゃあぁ!!痛いだに〜!!!!!

血が!血が〜〜!!!!」


パタ……


「なんだ?気ィ失ったぞこいつ」


「ゲホゲホッ……ルフィさん…なんてこと…」


「だってよう…お前殴られたじゃねェか」


「そ…そんな…私はどうなってもいいです。

…ゲホッ…殴られて良い身なんです」


「お前!殴られて、蹴られて悔しくねェのか!?


この島でたくねェのか!?」


「でたいわよ!!ぐす……あんたに…

なにが分かるの…?

生きているだけで…

幸せに思うこともある!!

殺されたくないの…!いつか…

脅えずに暮らせる日を夢見て…

グス…ぅ……っ…

さからったら…全部おしまい……っ…」


「終わりにしちまえよ」


「ひ!人の話聞いてたの?!」


「ナナ!!」


びく!

「は…!はい!」



「この島で終わりにしたって、

また始めればいいじゃねェか」


「ルフィ…さん」


「おれはお前のことが気に入ったんだ!

一緒に船に乗ろう!ししし」


「ふ…グス……ありがとう…」



「ん…だにィィ…いったい…だに…」


「は!忘れてた!!」

「ナナ…早くおれを手当てしろだに!!」



「……い…いやです…」


「は…?」

「いやです!だにだに言うやつのところで

住むなんてまっぴらよ!!」


「なな…な…!!こんの…お前は生きてても価値はねェんだに!!」


ジャキッ


「ひ…っ…そ!そんなことない!


わ…私を必要としてくれる人はいる!!

私の人生を馬鹿にすんな!!!!」


「な…なまいき…だにィ…!!」


ドゥンッ!!


(銃!?…終わった…)


「効かねェーーーー!!!!!」



「えええええええ!!!?」


「ぎょええええ!!!!」

「ナナ…一緒に行こうな!!」


「……うん……!」



「ゴムゴムの…」


「ま…!!まて!だに!金は…ある!!」


「ピストル!!!!」


ドガンッ!!!


「ルフィさん、ありがとう」


「ナナ!」

「う!あ…はい!!?」


「始まりだぞ!

ししし」


「うん…グス…」


始まることは怖いけど、

夢に近づく第一歩なんだ。

後押しをしてくれてたルフィさん。


この後押しがなかったら、

ずっとこの生活のままだった。

そんな生活より、今このドキドキして、

少し不安な気持ちのほうが幸せな気持ち。






ありがとう。

私もいつかあなたのようになりたい。


















*ちょいコメ*

全然甘くないね。
なんかルフィの恋愛って…分からない。

ルフィに励まされたくて書いてみました。

こんな駄文を読んでくださって
ありがとうございました。

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