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□第四場
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第一幕 第四場   稽古場


セット:F組の教室

放課後の教室でF組がロミオとジュリエットの稽古をしている
主役の二人にのみスポット 周りには他の生徒たちが見守っている






京助(ロミオ) シッ!あの光は何だろう?
(小和にライト)あれは、ジュリエットだ!


小和(ジュリエット) (独り言)ああ、ロミオ…どうしてあなたはロミオなの?

あなたがモンタギュー家じゃなかったらいいのに

名前なんて、人には関係ないわ

薔薇だって、たとえ薔薇と名づけられなくても、今と変わらず同じ芳しい香りがするはずよ

そう、そうよ
私にとって大事なのは、ロミオ、あの人そのもの それだけなのよ!


京助 ジュリエット!


小和 誰!? 誰かそこにいるの?


京助 僕だ、ロミオだ!


小和 ロミオ!


京助 どうか私をあなたの「恋人」と呼んでほしい

もう今日限り僕はモンタギュー家の人間でもロミオでもない!


小和 どうしてここが分かったの?
塀は高いし、もし見張りに見つかったら殺されるわ


京助 あんな塀くらい、軽い恋の翼で乗り越えたさ

君さえいれば僕は何でも出来る

誰も俺を殺せはしない


小和 本当?ロミオ、本当に私を愛してる?


京助 今宵の月に誓って、ジュリエット、君を愛している!


小和 だめよ! 月に誓ってはだめ!
新月のように、あなたの愛もいつかなくなってしまう

京助 それじゃあ……僕に誓って言う

ジュリエット、僕と結婚してくれ!


小和 ロミオ!


京助 僕と、結婚してほしい!


小和 うれしい
でも両親が許さないわ それに私もうすぐ許嫁と結婚させられてしまうの

明日の朝、私の乳母を使いにやります
もしあなたが本当に結婚してくださるなら、
彼女にいつどこで式を挙げるかを伝えて
あなたの愛が一夜の夢で無いことを証明して欲しいの!


京助 ……わかった、それが君の願いなら、必ず!


乳母(声だけ) ジュリエット様〜?


小和 ああ、いけない
(手をとって)いつもの千倍も楽しい夜だわ!


京助 僕はいつもの千倍も辛い

君への愛を証明するだけのことに、明日まで待つなんて!


小和 大丈夫 きっとよ おやすみなさい





目と目が合ってキス






京助 ああ、おやすみ




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