悪魔の蜜月~ 誘惑の甘美~
□プロローグ
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闇夜に不気味に浮かぶ、赤い月…
その血塗られたような真っ赤な月を
映す、大きな鏡のような美しい湖…
私は…その湖のほとりに立っている
周りはまるで光を飲み込むような
不気味な真っ黒な霧に覆われていて…
気をつけないと
魂ごとヤツらに喰われてしまいそうだ…
周りの見えないなにかにおびえていると
私をあざ笑うかのように
周囲の草木が音もなく揺らぎ始める…
"ここにいたのか…ユキ"
「……っ!?」
突然の人の声に驚いて顔を上げると
息ができないほど近くにいつの間にか
人が立っていた
そして私の顎を強引につかみ
さらにその人物は顔を近づける…
月の光のせいで、逆光になり
顔がまったく見えない…
そしてその人は私の耳元で
甘く、囁いた…
"運命になんて、あらがえないんだよ…"
…そこで私の意識は途絶えた…