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□離したくはない
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ドレスローザ城下町・・・
ティアは、服を買いに宮殿を出た
ドフラミンゴからやっと外出の許可が下りたのだ 彼と服の趣味が合わない事がわかったティアは、お金をもらい自分で選ぶ事にした
ドフラミンゴは露出の多い服装を好むため選ぶのに少々、躊躇する


「ありがとうございました」

服を買い店を後にするティア
店を出た瞬間、黒い詰め襟の服を着た中年の男性とぶつかった


ードンッ


「すみません・・」
「失礼・・」


男性は、はっと後ろを振り返った


「・・・ティア?」


ー・・え?

名を呼ばれて後ろを振り返ると、男性は目に涙を浮かべた


「私だ・・フランクだ」


よく見ると懐かしい顔だった
漆黒の髪、優しい緑色の瞳、忘れもしない金の十字架
神父のフランク叔父さんだ


「叔父さん!」


ティアは抱きついた
嬉しさに涙が頬を伝う


「どうして!?生きていたの!?みんな死んだかと思っていたのに・・」
「ティア、一族の事は残念だった。心からお悔やみ申し上げるよ。私の妹きっと天国に行った事だろう」


フランクは優しくティアの頭を撫でた


「ここで立ち話もなんだ。そこの喫茶店へ入ろう」

二人は近くにあった喫茶店へと入って行った


「私はずっと巡礼の旅をしていたのだよ。それで村を留守にしていた」


紅茶を飲みながら、フランクはこれまでの経緯を話し始めた


「それでティア、君はどうしていた?ここドレスローザに住んでいるのか?よく生き延びてくれたな」


ティアの手を握り、微笑むフランク
ティアはフランクの顔を真っ直ぐ見る事ができなかった


「私は・・その・・ここへ住んでいるの」
「ほぅ、一人でかね?」
「えっと・・その・・」


ティアの頭の中にドフラミンゴの顔が浮かんだ


「実は・・・」


ティアは今まで起きた一部始終をフランクに話した


「何と・・・一人でここへ乗り込んだのか!?何という無茶を・・・、それで今は奴と一緒に住んでいると言うのか!?・・何ということだ」


フランクは額に手を乗せた
ティアは押し黙る

「今すぐ私と一緒に外海へ行こう。ここで起きた事は忘れるのだ。こんな所に留まる意味はない」


立ち上がるフランク
押し黙ったままのティアを見やる


「ティア 、何か心残りあるのか?」
「・・・・。」
「さっきから首筋ばかり気にして何を・・・」


フランクがティアの髪を避けると、露わになる赤いキスマーク 体中のあちこちにつけられている。ドフラミンゴがつけたものだ。


「何だこれは・・・」
「・・・・。」
「あの男に慰み者にでもされているのか!?何という事だ・・今すぐ教会に行きなさい!今すぐだ!」

ティアの腕を掴み立ち上がらせようとするフランクの腕を振り解く


「ティア!」


ティアは逃げるように喫茶店を出た。後ろからフランクが呼び止めたが振り返らず走り去った。
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