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□change!4
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「何処へ向かっているの・・?」


コラソンの隣を歩き、下からティアが見上げると彼は前を見つめたまま答えた


「これから向かうのはおれ達、ドンキホーテファミリーのアジトだ。13年前のドフィに会ってみたくないか?」


ピタっと足を止め、ティアはポカーンとコラソンを見つめた


「・・ドフィがいるの!?」
「あぁ、そりゃあ船長だからな。13年後よりきっと若々しいぞ」


面白おかしそうに笑っているコラソンのすぐ横で、ティアはドフラミンゴと一緒に暮らしてからずっと気になっていた疑問をぶつけた


「・・ドフィは過去に何かあったの?」
「ん?本人から何も聞いてないのか?」
「あまり身の上話とかしないから・・・」


チラッとコラソンを見ると彼は空を見上げ、タバコを吸いこみ深ーーく煙を吐き出した


「・・・おれとドフィはガキの頃まで天竜人だったんだ」
「・・えっ!?そうなの!?」


驚いた様子でティアがコラソンを見上げると、彼はコクンと頷き話を続けた


「父が普通の暮らしがしたいと言い、資格を放棄したんだ。おれ達、一家は地上で暮らし地上の人々に酷い目に遭わされた」


タバコの灰を地面に落とし、コラソンは悲しい目で優しかった両親の事を思い出していた



「・・ドフィは10歳でおれ達の父を殺し、その首をマリージョアへ持ち帰ったが受け入れを拒否された。天竜人が牛耳るこの世界を破壊する気だ」


黙って話を全て聞き、ティアは何故ドフラミンゴが夜な夜な冷や汗をかいてうなされているのかを理解した



「そう・・だったの。話してくれてありがとう」
「一応、言っておくが・・ドフィはやめておいた方が良いぞ?かなり人格が歪んでいるからな」


心配そうにティアをコラソンは見やったが、彼女は肩をすくめて両腕を広げた


「私が拒否しても、あの人が離してくれないわ」
「ハハハッ、それは参ったな・・」


ゴミの山を乗り越え、しばらく歩いた先に工場の址のような建物が目前に迫りコラソンは足を止めた



「言い忘れたが・・おれは仲間の前では喋らねェんだ。急に無口になっても驚かないでくれよ?」


ついにドフラミンゴと対面するのかと思いと、緊張しティアはゴクリと固唾を飲みこんだ



「私は・・?私はどうしたらいい?」
「普通にしれいればいいさ。アリーは一度、ここへ来ている・・何か聞かれても何も答えなくていい」



階段を上がり、コラソンが扉を開けると頭にリボンをつけた少女が出迎えた



「コラさーーーん!お帰りなさい」


ピョンピョンと跳ねている少女を指差し、ティアは小声でコラソンに尋ねた


「この子って・・ベビー5!?」


ティアの腕を引っ張り、コラソンはドフラミンゴがいる部屋へと向かった
身の丈を覆う大きなソファーに腰掛け、テーブルに足を乗せ本を読んでいたドフラミンゴは目線を本に向けたままコラソンに声をかけた



「フッフッフッ!デートは楽しめたか?コラソン」


懐かしい聞き覚えのある声を聞いて、ティアは自身の姿が姉のアリーだという事を忘れそうになった
ドフラミンゴに近寄ろうとしたが、コラソンに手で制されハッと踏み止まった


「またその女を連れて来たのか・・お前がそこまで未成年好きとは知らなかったぜ」


コラソンが話した通り、目の前のドフラミンゴは若々しく髪の毛も長めで13年後のティアが知っているドフラミンゴとはまた、違った魅力に溢れていた
ティアがぼーーっとドフラミンゴを見つめているので、コラソンは肘で小突きメモ用紙をドフラミンゴに渡した



「・・何?しばらく旅に出たい・・何を考えている?何処へ行く気だ」


チラッと悲しい目でティアを見やり、コラソンは胸に手を当てて首を横に振った


「・・元気が無いからどこか別の場所へ連れて行ってやりたい?フン、勝手にしろ。だが、‟土産”を忘れるなよ?」



コクンと頷き、コラソンはティアの背中を押して部屋を出て外へ出た


「コラソン!旅に出るって・・何処へ行く気なの!?私・・ここにいたい」



チラチラとアジトの方を見ているティアの頭に手を乗せて、アリーに対していつもするようにポンポンと撫でた


「ティア・・ドフィの側にいたい気持ちはわかるが今のままではダメだ。お互いのためにも元に戻る方法を探そう」


シュンとしているティアを励まそうと、コラソンは肩を抱きしめた


「心配するな・・きっと元に戻れる。中身が入れ替わったのは何か原因がある筈だ・・心当たりはあるか?」


こめかみに指を当て、ティアは自分でいて最後の記憶を思い出そうとしていた



「確か・・・買い物に行って、上から植木鉢が落ちてきてそのまま気を失った筈・・・」
「アリーは空中ブランコを網無しで挑戦して、手を滑らせて落ちたんだ。・・・共通していることがあると思わないか?」


首を傾げているティアにコラソンは話を続けた


「脳によるショックだ。ショックが引き金となって入れ替わったに違いない」
「じゃあ・・また脳にショックを与えれば元に戻れるってこと?」
「断言はできないがな・・・明日、図書館にでも行って似たような文献があるか探してみるか・・・」


ゆっくりと大きく頷き、ティアはもう一度アジトの方を振り返った


また愛しい男に再会できることをただひたすら神に祈るばかりだった
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