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□change!4
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暖かい午後の日差しが店内を照らし、窓辺で向かい合って長いソファに腰かけるコラソンとティアの間に長い沈黙が流れていた

紅茶が冷めるのをただボーーっと見つめ、時々コラソンの方を見ると彼は静かに話を聞きタバコの煙をくゆらせていた


「あなたは・・・ドフィの弟なのね?」


山積みになった灰皿にタバコを押しつけ、コラソンは俯いているティアにメニュー表を渡した


「何か頼むか・・?」
「い・・いえ、結構よ」


ジェスチャーでも要らないという意志を伝えるティアを見て、コラソンは口元に笑みを浮かべた


「不思議だな・・・同じ姉妹なのにアリーとは大違いだ」
「姉さんは私と違って活発な性格だそうね・・」
「おれと喫茶店に行く時はケーキを山ほど食べるぞ?タバコだってブカブカ吸うし、落ち着きがないし・・・」



話を聞いてティアは笑った
ティアの顔に明るさが戻ったのを見て、コラソンは話を続けた


「・・ドフィとはどういう経緯で知り合ったんだ?」



コラソンの質問に、ティアは目線を下に落とした
探るように真っすぐ見つめられ、側を通る店員に紅茶のおかわりを注文した



「・・話が長くなるから注文させてもらったわ」
「あぁ、全然かまわない」



店員が新しい紅茶を持って来ると、ゆっくりとした手つきでティアはティーポットを持ち上げカップに注いだ


「・・ドフィは仲間を引き連れて、私の一族を皆殺しにしたの。彼が憎くて殺す覚悟で一人で乗りこんだわ」


コラソンのカップにも紅茶を注ぎ飲むように勧め、二人はカップを持ってお互いの話に耳を傾けた


「初めはすごく嫌だったけれど・・ドフィと暮らすようになって・・その、愛情が芽生えたの」
「ドフィの事が好きなのか?酷い事をされたんじゃないのか?」



タバコをくわえ火をつけると、コラソンは体を横に向け長い足をソファーに乗せた


「いいえ、私は・・彼を愛しているの。どんな酷い事をされたっていい」



タバコの煙を天井に向けて吐き出し、苦笑いを浮かべてコラソンはティアを見た


「変わっているな・・兄のどこがいいんだ?」
「あなただって姉と恋人同士になるなんて変わってる・・・」


二人は笑い合った
お互い兄弟、姉妹同士でカップルになるだなんて何という偶然だろう・・・
二人が会ってから大分、時間が経過したらしく夕暮れ時になり赤い日差しが差し込んできた


「そうか・・・ドフィは13年後、ドレスローザの国王になっているのか」
「色々と悪事を働いているわ。もう誰にもあの人を止める事はできないのかもしれない・・」



オイルライターのフタを開けたり閉じたりしながら、コラソンは悟った



ーーーどうやら、おれの命はそう長くねェようだな・・・


弱弱しく微笑みオイルライターをポケットに入れると、コラソンは伝票を持ちティアに声をかけた


「ここを出よう。話は歩きながらで良いか?」


二人は立ち上がり、会計を済ませ店を後にした
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