本棚3

□怒りと悲しみの行方
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「・・この恥知らず!!」


ーーーパァンッ!!



灰色の雲が空を覆い尽くす雨が降りしきる夜
何かが破裂したかのような爆音が辺りに響いた
癇癪を起した中年女性の平手打ちが、アリーの頬をとらえ彼女の体はゆっくりと後ろに倒れ、濡れた石畳の上へと倒れた


女は、肩を怒らせてハイヒールの音をカツカツと鳴らし去って行ったがアリーは起き上がる気力は無かった
赤く腫れた頬を、冷たい雨が冷やしてくれるようだ・・・


片手を空に掲げると、彼女の手は小刻みに震えていた
手だけではなかった・・全身が歩けないほど小刻みに震えている


ーーーこんな時に・・・


ゆっくりと体を起こそうとしたが、アリーは諦めた
震えは発熱によるせいだとも思われるが、それだけではないようだ
ここ数日、‟禁断症状”が彼女の体を蝕んでいる
‟体を酷使しすぎたせい”だ


スパイダーマイルズに人助けをしてくれる親切な人なんていないだろうし、このまま死んだってかまわない
しかし、皮肉なものだ・・また、この町に戻る事になろうとは


「・・・ロシー・・」


朦朧とした意識の中、アリーの脳裏にコラソンの姿が浮かんだ
彼の温かい大きな手の感触を思い出していると、通りの向こう側から誰かが近づいて来るのがわかった
聞いた事のある足音だ


ーーコツ・・コツ・・コツ・・・


重くゆっくりとした足どり・・
足音の主を瞬時に見抜き、意識を失いかけていたアリーの頬に笑みが浮かんだ
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