ネコミミフェイク
□イイ子ちゃんは計画的で徹底的に
1ページ/6ページ
「−−です」
パチパチパチ
乾いた両掌を叩き合わせる音が教室中に響き渡る。
その音すら上品なものに聞こえるのは、程よい飾り付けのされているデザインの校舎に居るからだろうか、それとも拍手まで指導されるような身分の人たちまでいるからだろうか。
そんなどうでもいい事を考えながら、一礼して一年A組の生徒用の机へと向かう。
先程入学式が終わり、これから一年学校生活の大半を過ごすであろう所属教室まで移動してきたところだ。
てか、自己紹介とか普通次の日にやるもんじゃないの?
もう、帰りたい。昨日(厳密には今日)までとある動画サイトで実況見ていたから、
「〜っく」
出そうになった欠伸をかみ殺し、不満と共に飲み込む。人前でのしかも、他人の自己紹介中の欠伸なんて印象が下がってしまう。
……帰って寝たい。
「えーと趣味は音楽鑑賞、主にクラッシックを―――」
やばっ。大切なの忘れていた。
あたしはミニノートを取り出し自己紹介をしている生徒の名前と特徴、趣味などをバレないように書き込んでいく。
クラスの人間とは、いやクラス外とも円滑にやっていかないと数値化されない周りの評価に大きく響いてくる。
こんな事好き好んでやっている訳ではないが、この程度で猫被っていけるなら万々歳というもんだ。