雪花の如く
□6 深緑の瞳
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万事屋と真選組の一行六人と早苗に切りかかる浪士たちはそこまで強いわけではなかった。だが、数時間に及ぶ拷問を受けた早苗と彼女を気にしつつ庇いながら闘う新八と神楽に、彼らの隙をつこうと多くの浪士が向かっていったのである。
「クッ、新八ィ、ここは私に任せて先に行くヨロシ!」
「神楽ちゃん!一人じゃ危ないわ!」
「彼女なら大丈夫ですよ、とにかく急ぎましょう早苗さん!」
そのまま駆けていった二人を確認すると神楽はにやっと笑って浪士たちに言った。
「お前ら、このかぶき町の女王に喧嘩を売ったことを後悔するアルヨ・・・!」
ドッカァァァン
後ろから聞こえてきた爆音に早苗は顔をひきつらせた。
「・・・大丈夫なの、あれ・・・」
「僕はむしろ敵の方が心配になってきましたよ・・・。あ、ここの影にひとまず隠れましょう。」
二人は積み重なるコンテナの影に逃げ込んだ。
「集合場所まで少し道を外してしまいましたね・・・」
「新八君、それ持ってるのは木刀?」
「はい、これでも道場剣術を続けていましたから。これからどうします?」
「!これってトロッコかしら?」
早苗が指差す先にはトロッコと港の出口の方向に続いている線路があった。
「!!これに乗っていけますかね?」
頷いた早苗は新八にトロッコに乗るように言うと、それについている装置をいじり出した。
「よし、かなりのスピードが出るみたいだから、しっかり捕まっていてね。」
満足そうにポンポンと装置を叩くまま乗り込もうとしない早苗に新八はおずおずと声をかけた。
「早苗さん?早く乗らないと発車しちゃいますよ?「新八君、落ち着いてよく聞いてくれるかしら。」はい。」
「もうすぐここに奴らが来るわ。だから乗ってる間も気をつけてね。」
「え、ちょっと
ゴゴゴゴゴ
早苗さん!!!」
「銀さんたちに伝えてね、すぐ行くから!」
手を振る彼女に叫んでも空しくトロッコは猛スピードで走り去った。
「・・・さてと。」
ドスッ ドスッ ドスッ
「この線路上に行けばいいかしらね。」
シャラと簪の音をさせてゆっくりと歩いていく早苗の後ろには気絶した浪士三人が倒れていた。
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「はあ、まさかあそこで乱入されるなんて。真選組と一緒にいた奴らは何者だったんでしょうね。・・・・おや、おかえりなさい。はいはい、わかりましたよ、行きますか、勧誘とやらに。」