ディアーユー

□帰り道
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今日の依頼を片付けると街の中で大荷物を両手に持つナマエが歩いていた。
ものすごく重そうで、しかも心なしか心身共に疲れてそうだった。

「ナマエ」
「あ...イルミ様」
「それはキルのお使い?」
「そうです、キルア様の要望通り、たくさん買えました」
「別にわざわざ買いに行く必要なんかなかったのに」
「?どうしてですか?」
「だってキルは...」
「キルア様は?」
「ううん、なんでもない」

だってキルはナマエと一緒に買い物に行きたいだけだったんだからって言おうと思ったけど、やめた。(それに取り寄せればいい話)

「......何?」

ナマエはオレの顔をじーっと見る。
何?なんかついてる?

「イルミ様も荷物持ってくれませんか?」
「...は?」

何言ってるのこの人。
あんた、メイドだよね。

「なんでオレがメイドの手伝いしなきゃいけないの」
「そう、ですよね...」
「そうだよね、オレ、間違ったこと言ってないよね」
「はい...」

ナマエは本当に残念って顔をした。
......なんでそんな顔するの。
そんなぐったりして。

「疲れてるの?」
「はい、変な人に会って...」
「ふーん、どんな人?」
「プリンよこせって」
「...へえ、プリン、か」

どうしよう、なんとなく1人思いついちゃったよ。
まさか、そんなことはないと思いたいけど。

「これは私の雇い主のお子様からの要望で、渡せませんって言ったんです」
「でも、それだけあればじゅうぶんじゃないの」

袋の中はキルの好きそうな菓子がたくさんある。
うん、それだけ買い占めればひとつくらいあげたっていいでしょ。

「でも、キルア様はお菓子が大好きだから...ひとつでもたくさんないと寂しいかなと思いまして」
「そこまでキルは繊細じゃないよ」

オレの弟をなんだと思ってるの。
だけど、ナマエは本気で言ってるみたいだね。びっくりだ。

「で、その人にプリン譲ったの?」
「だってその人、私にプリンやるから身体がどうとか言うんで」

ナマエは恥ずかしそうにモゴモゴ口ごもる。
え、何そいつ。うちのメイドに手出そうとしたわけ?てゆうか、やっぱそいつ男だよね。身体って言ったし。
あーあ、また一歩オレの中で思いついた人物に近づいてくよ。

「で、あ、やばい!この人は関わっちゃいけない人だって思って逃げたんです」
「賢明な判断だね」
「だけど、いつの間にか携帯を盗られちゃって、勝手にその人のアドレス登録されちゃって...」
「え、されちゃったの?」
「はい」
「ダメだよ、ナマエもゾルディック家に雇われてるんだから、何処の馬の骨とも知らない男に個人情報は知られちゃ」
「わかってるんですけど......あ!」

ナマエは驚いてオレの手を見た。
そうだよね、勝手に携帯盗られたんだから驚くよね。
でも、無防備すぎるんだよ。いくら両手塞がってるとはいえ、もうちょっと警戒したらどうなの?
これで携帯とられるのは今日二回目なわけだ。

「えーっと......クロロ...?」
「は、はい、クロロさんです!...どうしてわかったんですか?」
「......」

たくさんある名前の中に、まさにオレが想像していた人物。
思わず携帯を握りつぶしそうになった。
握りつぶすのは堪えたけど、このアドレスは消去しよう。

「...よし、消去っと」
「え!消去しちゃうんですか?」
「何?してほしくなかった?」
「いえ、そうゆうわけじゃありませんけど...」
「じゃあ消したっていいでしょ。だいたいナマエは何も考えてなさすぎるんだよ。この男が何考えてナマエに近寄ったかわからないじゃん。もし、こいつがオレみたいに人を殺すやつだったら?ナマエ、殺されちゃったら?」

お説教してるんだよ、オレ。あんまり反省してない顔でしょ、それは。
確かにいくらナマエは一般人でも、ゾル家に雇われてる以上。半分はゾル家なんだから。

「わかってるの?オレらに恨みを持ってるやつがお前みたいなひ弱なのから狙うかもしれないでしょ」
「だ、大丈夫です」
「...その自信はどこからくるのか教えてほしいよ」
「もし、私が殺されそうになった時は、イルミ様が守ってくれますから」
「.........は?」
「だから、イルミ様なら私を守れますよね?」
「できるけど、やるとは言ってないよ、オレ」
「えー、お願いしますイルミ様」

本当に...お前は......。

「じゃあ、その時は有料ね」
「お金ないですよ私は」
「知ってる」
「まさか、イルミ様も身体ですか!?」

オレもって何。
何で顔赤いの。

「何言ってんの?ナマエ子供でしょ。興味ないよ、オレは」
「17です!」
「じゅうぶん子供だよ」
「...うーん、子供ですか?」
「あ、でも中にはそうゆう趣味の人もいるからね、気をつけなきゃダメだよ」
「、はい、わかりました、これからは気をつけます」
「うん、いい子だね」

わかってくれたみたいだから、その荷物ちょっと持ってあげるよ。
ナマエから半分荷物を奪うと、嬉しそうにオレにお礼を言った。

「じゃ、もう用はないでしょ?うち帰るよ」
「はいっ」


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