ディアーユー

□仲良くなった
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仕事から帰って来たら母さんはやけに上機嫌だった。
「ナマエが手刀を止めたってキルが喜んでいたのよぉ!」
ゴーグルから機械音。
ふーん、あのメイド、ナマエっていうの。変な名前。
だけど、母さんが能力を買ったっていうのも何と無くわかるような気もしてきた。反射神経だけだけど。

「で、メイドは」
「ナマエよ、イル」
「どこにいるの?」
「今はキルの相手をしてるの」

そっか、てことはキルの部屋かな。
オレはキルの部屋に向かった。


キルの部屋の前まで行くと、中から声が聞こえてくる。

「あっ...キルア様......もう、もうダメです...!」
「もう?もうちょっと、我慢しろよ」
「そん、な...ああっ!」

いかがわしい声だった。
オレの大切な弟がメイドごときにたぶらかされてると思ったわけだからそりゃあドア壊しちゃうよね。

バターン!イルミが破壊したドアが倒れる。「げ、兄貴...」キルアはコントローラーを持ったまま固まる。隣ではナマエもコントローラーを持って座っていた。テレビの画面にはゲームオーバーの文字。
2人は気まずい顔をさせた。

「なんだゲームしてたのか」
「イ、イルミ様!」

ナマエはしまった!という顔でイルミの無表情の顔を見つめた。

「何んだよ兄貴!何の用。オレは今日の特訓はちゃんとやったから、別に遊んでたっていーだろ」
「うん、キルは偉いね」

別にお兄ちゃんそんな意味でドアを破壊したんじゃないよ。
そうじゃなくて、なんでキルがこのメイドと遊んでるのかって聞きたいの。
で、なんでメイドはその格好?なんでメイドの格好してないの。まあ、大方、母さんの仕業だろうけど。

ナマエはキレイなワンピース姿でいた。

「これも、仕事です!」
「ふーん、メイドの仕事ってのは雑用じゃないの。へー、初めて知った」
「オレが頼んだんだよ、兄貴」
「メイドじゃなくてもいーでしょ」
「だって、ナマエ面白いから...」
「...じゃあ、こうする?」

朝みたいに針を取り出したイルミはためらいもなくそれをナマエに向かってそれを投げた。
「んな!」ナマエは変な奇声とともに顔の前まで来たそれを手で全部止めた。

「なんだ、また死ななかったのか」

ナマエの手首にだらっと赤い血が流れる。少しだけかすったようだった。

「でも、手で受け止めるんじゃなくてよけないと」
「...痛いです!イルミ様のばっ、...」

「んんん!」言いかけたところ間一髪キルアが手で口を抑えた。それ以上は言ってはいけないの合図だったが、イルミから殺気が漏れた。イルミ様のばっ、までくれば先はもう自ずとわかるのだ。

「とにかく!オレは「キルは黙って」」

話をそらそうとキルアは試みたがダメだった。もともと苦手だった兄がさらに怖く感じるほどに不穏な空気が漂う。

「ねえ、ナマエ......だったけ?」
「はい...」
「お前は本当にムカつく」
「申しわけございません...」

申しわけございませんねー。そんなの誰だって言えるよね。大切なのは申しわけございませんまで言わずに済ませることだよ。あんまり図に乗らないことだ。
その手首から流れる血ぐらいじゃ人は死にはしないけど、オレはその気になればいつだってお前を殺れるんだから。

「あんまり怒らせないでね」
「はい、」

殺そうか迷ったけど、今日は疲れてるからやめた。
でも、朝のこともあってムカつくからお仕置きはしないといけないよね。

「じゃあ、こっちにおいで」
「?」
「お仕置きだよ」

キルアとナマエの2人どちらもお仕置きの言葉に反応してこわばる顔。この家はお仕置きなんてあるんだ!ナマエは思った。
イルミはナマエの腕をがっしり掴んで歩き出した。「お、おい!」キルアがナマエの手を掴もうとするが、イルミと目が合って手が出なくなる。
バイバイ、ナマエはキルアにこっそり手を振った。


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