ディアーユー

□仲良くなりたい
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何なんだこのメイド!
いやオレはびっくりしたぜ。だってあの兄貴に「イルミ様はおキレイでいられますね」だとよ。
最初は何言ってんのかわかんなくて、ただ空気が張りつめる感じしかなかったけど、兄貴がメイドにもう一回聞いたらやっぱり兄貴をキレイだって褒めてた。
思わず飲んでたものを吹き出すとメイドは慌ててオレが吹き出したものを拭いた。
あ、あ、兄貴にあんなこと言えるメイドが今までに居たか?
いやもしかしたら居たのかもしんねーけど、そんなのはきっとすぐに殺られたのかも。
だから今回のメイドもその二の舞だろ。
......と思ったけど、メイドは銀製のプレートで全部兄貴の針を受け止めやがった!
ものすげー反射神経にオレは驚いたわけ。

「なあ、お前すげーな」
「ああ、キルア様、まだいらしたのですね」

朝の食卓を済ませ散り散りになったゾルディック家だが、三男キルアだけはその場に残りテーブルを片付けるメイドに話しかけた。

うーん、みた感じは普通なんだけどな。
あ、でも母さんが選んだだけあって顔はいいな。

「何でさっきので死ななかったんだよ?」
「さっきの...?」
「兄貴の針だよ!」
「針...あ!!キルア様!」
「な、なんだよ」
「イルミ様にちゃんと言ってください!あんな危ないことはしないように」
「な!」

メイドはオレの両肩を掴んで言った。「危ないんでやめるようにって!」怒った顔して。
こんなメイドは今までいなかった。メイドってのはいわゆる雑用なんじゃ......。

キルアはメイドにぐわんぐわんと体を揺すられた。「おちつけよ!」と声をかけてもイルミに対する不満が止まらない

「あーもー!ちょっと黙ってろよ!」

キルアはどうしていいかわからずにとりあえず目の前でわめくメイドを気絶させようと、手刀でメイドの首を叩こうとした。
しかし、メイドは素早くキルアの手を掴んでしまった。

なっ!なっ!なっ!
止めた!?

「キルア様!いけません!爪が伸びていてこれでは人を傷つけてしまいます!」
「はあ!?」

メイドはオレの手刀を受け止めたと思ったら爪が伸びていてダメだと言った。意味わかんねー、商売道具だっつーの!

「いいんだよ!これは人を傷つけるためにあんの!」
「え?そうなんですか?」
「だってオレは暗殺者だし!」
「あ、そうでした、ね!」

メイドはゆっくりキルアの手を離して申しわけごさいませんでしたと謝った。

「ねー、あんた面白いね」
「ありがとうございます」
「オレの友達になってよ」
「私が?」

メイドは不思議そうに首を傾げた。

「でも私、キルア様とは歳が離れてるし話も合わないと思うので無理じゃないでしょうか?」
「え、そうゆう理由!?」

なんかずれてんなーこの人。
普通は自分はメイドだから友達にはなれないって言わない?

「あんたいくつなの」
「17です」
「えー、なら大丈夫だって!オレと五つしか変わんねーから!」
「ええ?キルア様12歳なんですか!」
「何?そーだけど」
「もっと、年したかと思っていました」
「...あのなあ!何でオレがお前にガキ扱いされなきゃいけないんだよ!」
「でも実際キルア様、私より歳「うるさい!!」...キルア様?」

歳はそりゃあ違うけど、お前だってオレと大して身長変わんねーし、顔だって幼いし!胸もない!
そーだよ!あんた胸ないよな。

「胸は!胸は...これからです...」
「男に揉まれると大っきくなるて言うし、早く男つくれば?」
「そんな心配キルア様にされなくても大丈夫です!」
「ははー、まさか男に抱かれたことないんだろ?」
「っ!もう!私は仕事中ですので!」

メイドはくるっと振り返って、無駄に長いゾルディック家のテーブルを拭き始めた。

やっぱな!やっぱ男経験ゼロだ!
うーん、こいつかなり面白い!
顔赤いしー!

「ねー」
「......」
「ねーってばー」
「......」
「そんな怒るなよ」
「キルア様、私は仕事中です」
「オレの相手すんのも仕事だろー?」
「......」
「オレと遊ぼうぜー」

メイドはしつこく迫るキルアを振り切ることができずに困った顔をする。まだ幼さを残すが、キレイな顔だった。キルアはこれでよくイルミがキレイだなんて言えたな、と思った。

「キルア様が今日の特訓を終えた後なら...」
「いいの!?」
「...ナイショですよ?」
「別にナイショにしなくてもいいだろ、母さんあんたのこと気に入ってるし」

だいたい気に入られて入ったんだろゾル家に。

「でも、あんまり喋らないで下さいね」
「わかったわかった、てかあんた名前は?」
「ナマエです」
「そっか、ナマエか!じゃあ絶対だからな!」

よし、楽しくなってきた!

キルアは友達ができた気分だった。


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