**anniversaire**

□mon soleil
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『あつっ!‥ん?しょっぱい‥‥はぁ‥また、失敗‥?‥』


料理が超ー苦手な、わたし。

だけどこの日の為にと少しずつ腕を磨いてきたのに‥‥



『‥‥はい‥落ち着いて‥あっ、大と小間違えてる!‥そっか。よしっ、時間は?良かったまだ大丈夫‥あーっ卵残りひとつ‥』


『ボウルに卵を割り入れて
かきまぜたらお出汁と塩と醤油
入れて‥次にザルでこして‥うん、いい感じ‥で具を‥よし後は蒸し器‥‥』


名無しさんは器を蒸し器に入れて鍋の蓋をしながら呪文のように唱える

『‥美味しくなあれ‥‥‥』



何度目の“ 美味しくなあれ ”だろと思いながら火加減をみる


となりのコンロには土鍋があり蓋の穴からは勢いよくシューっと蒸気が出ていた


『‥あっ‥弱火にしなきゃ‥でタイマーセットして‥あ、もうこんな時間』




キッチンからクローゼットへ移動すると今まで身に付けていた洋服から急いで着替え白いエプロンをした



きちんと包装された包みを確認してキッチンへ戻った


『‥後は‥‥‥』


冷蔵庫を開けるとスイーツらしき箱と四角い容器が出番を待っていた


ブーブーッ


テーブルに置いてあった携帯のバイブがなる


『‥あっ‥健くん‥もしもし‥‥近く?‥えっ着いたの?‥‥‥』



ピンポーン


電話を切る間もなくドアのチャイムがなる

『はい、はい』

「‥おっそいっ‥名無しさんすぐ開‥‥」



『‥あ‥おかえり健くん‥‥っ』



「‥ただいま‥‥はあこれこれ‥落ち着くぅ」

『‥もう‥‥』



「もう?‥‥なんだよ‥もうって‥」


『‥なんでもなーい‥』


「‥‥‥‥ふうん‥で?どうして着物?」



『‥お祝いだから‥誕生日‥健くんの‥‥』


「‥ありがと‥あーっお腹ペコペコ‥」



『‥ごはん‥すぐ用意するね‥』



「んー‥いいにおいがする‥‥」


『‥はい‥』


「うわーっ‥好きなものばっかじゃん‥‥」


『ん‥‥ちょっと頑張ってみた‥』




「‥そっか‥じゃ‥いただきます」


『‥いただきます‥‥』


「んー‥‥‥」


『‥‥どう?‥』



「‥‥‥うまーい‥名無しさん凄いじゃん」


『‥そ‥そう?‥良かった‥』


「‥この茶碗蒸しなんかプルプルしつ‥‥うまっ」



『ふふっ‥‥ん‥ほんとおいしっ』


「‥名無しさんありがと‥‥」


『‥あ、あとケーキもあるよ‥それと‥』



「‥ん?それと‥」


包みを取りにいく




『‥はい、プレゼント‥』



「‥‥開けていい?‥」


『‥うん‥‥』



「‥おおっ‥これって‥」


『‥お気に召していただけましたか?‥‥』


「‥‥‥‥ばーか。気に入らないわけないじゃん‥‥だけどー‥」


『‥んっ‥』



あまーくくちづける


「‥‥こんなにカワイーことされたら‥‥我慢できないよ‥」


『‥‥‥ん‥健』



「‥名無しさん‥好きだよ」





『‥健‥わたし‥も‥』




大好きな大好きな私の太陽



ーHappy birthday 健ー


あまーくながーい

二人の夜はこれから



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