読み物

□待ち侘びて  水尾夢 甘
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衣を翻らせて部屋に入ってきたのは御門だった。

不躾な入り方だが、御門に言ったところで改善されるわけでもなく、また水尾自身もそこまで気に留めていない。
なので、水尾は僅かに視線を向けるだけでそれ以上は特に興味も示さなかった。


どうやら、そんなことよりも気になっている事柄があるようで。


御門は肩を竦めると、水尾の隣へと歩み寄りながら問い掛けるように呟いた。



「葵が里帰りしてもう7日かぁ。結構長いね」
「嗚呼」


御門の問いかけに、水尾は坦々と言葉を返す。



実は、葵は今江戸城に長期予定で滞在していた。
本物の家光様に「久しぶりに二人で会いたい」と請われたのだ。


話は数日前に遡る。

 
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