読み物
□お兄様がいっぱい? 麻兎夢 甘
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「麻兎見てっ!ちっちゃい雪だるまができたよ!」
「あー、はいはい」
麻兎は縁側に腰を掛けると、雪の中で楽しそうにはしゃいでいる葵を見遣った。
「…なんで俺がこんな事を…」
先の春日局の言葉を思い起こしながら、麻兎は小さく息をついた。
「…俺が子守りを?」
「そうだ。何の問題がある?」
例の如く余裕綽々の笑みを見せながら、春日局は二人を振り返った。
「どんな姿だろうと、『上様』ならお前が守るのが筋だろう?それに、時間が立てば戻る可能性があるなら、特に大きな問題でもない」
「だが、戻るっていう保証もないぜ?」
「元に戻らせる事も含めて、お前の任務だと認識しているが?影武者に関してはお前に全て一任しているのだしな」
「…………」
「それに」
春日局は挑発するように更に笑みを深めた。