読み物
□お兄様がいっぱい? 麻兎夢 甘
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「んー〜むにゃむにゃ」
葵は、先の公務に備えて昨夜から書物を読み耽っていた。
しかし、襲い来る眠気には勝てず、いつしか文机に突っ伏して寝入ってしまっていたのである。
「……はっ!…わっ、やばっ!また寝ちゃってた!?」
慌てて飛び起きると、固まった身体を解そうとゆっくり伸びをする。
「んーっ…あれ?」
ふと、机の上に見慣れない湯飲みを見つける。
寝ている間に、誰かが置いてくれたのだろう。ほんのりとまだ湯気が漂っていた。
「…もしかして…麻兎が?」
いつもなんだかんだで気遣ってくれる彼の姿を思い浮かべ、葵は一人頬を染めた。
ちょうど起き抜けで喉が乾いていたこともあって、葵は一気にお茶を飲み干す。
「…ふぁー、なんかまた眠くなってきちゃった…」
そんな事を呟きながら机に向かっていると、その内に…