読み物
□お兄様がいっぱい? 麻兎夢 甘
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「あ…あしゃとぉ〜…」
「っ葵!?」
幼顔ではあるものの、そこにいたのは間違いなく葵だった。
予想外の事態に麻兎は額に拳を当てると、目を伏せながら考え込んだ。
それからすたすたと葵に歩み寄ると、彼女と同じ高さまでしゃがむ。
「…で?今度は一体何を拾い食いした?」
「してないよっ!いつもっ!!」
「そうか?アンタのことだから、また何かうっかりやらかしたんだろーと思ったんだけど」
事情を話すよう促され、葵はしばらくは麻兎を睨んでいたものの、記憶を辿りながらゆっくりと話始めた。
それは、約半刻程前のこと。