読み物
□お兄様がいっぱい? 麻兎夢 甘
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冬の寒さに張りつめた空気がようやく緩んできた頃、麻兎はいつも通りの足取りで葵の部屋へと向かっていた。
「葵、いつまで起きないつもり?それとも、俺に襲ってほしくて待ってた?」
からかうように声をかけながら、襖を開く。
「…ん?」
するとそこに葵の姿はなく、代わりに奥の方に誰かがしゃがみこんでいるのが見えた。
子ども?
誰かの親戚だろうか。
齢5つか6つくらいの見慣れない少女の姿に、麻兎は首を傾げた。
「おい、ここにいた女を知らないか?」
麻兎が問い掛けると、少女はゆっくりと麻兎を振り返った。