main@

□あなたを乗せて
1ページ/2ページ





「わぁ〜!!海だ〜!!」




部活のない放課後、恋人の名無しさんさんを自転車で海に連れてきた。




僕が漕ぐ自転車の後ろに彼女を乗せて………青春ですね。




しかしこの時本当にバスケ部で、足腰と持久力を鍛えておいてよかったと心から思いました。




「テツもこっちおいでよ〜」




彼女に手を引かれて、浅瀬の方に連れていかれる。




今は夕方。いつもは青い海は夕日の光を受けて、オレンジ色に輝いている。




すると、サァッと潮風が吹いて、横に立つ彼女の長いく柔らかい髪がなびいて、僕の顔をくすぐった。




「すごい……綺麗だね。」




そう言って目を細めて海に見とれる彼女の横顔が愛くるしくて、思わずなびいた髪を撫でて、そっと抱き締めた。




「テツ………?」



「すみません、あまりに名無しさんさんが可愛いので……」




抱き締めた腕を緩めると、今度は彼女が腰に腕を回してきた。




「あたしテツにギュってされるの好き。」



「……そんな可愛いこと、言わないでください。」




もう抱き締めるだけじゃお互い収まらず、僕たちは見つめ合って唇を重ねた。




「また、どこか連れていってくれる?」



「はい、もちろんです。」




あと一週間で、夏休みが始まる。




僕が部活のない時間はすべて、名無しさんさんのためのもの。




今度はあなたを後ろに乗せて、どこへ行こうか。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ