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□あなたを乗せて
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「わぁ〜!!海だ〜!!」
部活のない放課後、恋人の名無しさんさんを自転車で海に連れてきた。
僕が漕ぐ自転車の後ろに彼女を乗せて………青春ですね。
しかしこの時本当にバスケ部で、足腰と持久力を鍛えておいてよかったと心から思いました。
「テツもこっちおいでよ〜」
彼女に手を引かれて、浅瀬の方に連れていかれる。
今は夕方。いつもは青い海は夕日の光を受けて、オレンジ色に輝いている。
すると、サァッと潮風が吹いて、横に立つ彼女の長いく柔らかい髪がなびいて、僕の顔をくすぐった。
「すごい……綺麗だね。」
そう言って目を細めて海に見とれる彼女の横顔が愛くるしくて、思わずなびいた髪を撫でて、そっと抱き締めた。
「テツ………?」
「すみません、あまりに名無しさんさんが可愛いので……」
抱き締めた腕を緩めると、今度は彼女が腰に腕を回してきた。
「あたしテツにギュってされるの好き。」
「……そんな可愛いこと、言わないでください。」
もう抱き締めるだけじゃお互い収まらず、僕たちは見つめ合って唇を重ねた。
「また、どこか連れていってくれる?」
「はい、もちろんです。」
あと一週間で、夏休みが始まる。
僕が部活のない時間はすべて、名無しさんさんのためのもの。
今度はあなたを後ろに乗せて、どこへ行こうか。