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□ストラップ
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「あ、ファンの子からまたメール来てる。」
携帯をいじりながら、隣を歩くのは、私が片想いしている人………黄瀬涼太。
そして、その涼太の携帯には、青いラメストーンが埋め込まれた、ハートの片割れがついたストラップ。
……きっと、もう片割れを持っている人が、いるのだろう。
でもその持ち主が誰なのかは、聞いたことがない。
………聞いたらきっと、辛くなるから。
「『ありがとうッス』……っと!あ、また来てる…」
でも、やっぱり涼太がメールを打つ度に揺れるストラップが気になった。
「彼女から、メール来た?」
「え?」
「彼女から、『試合頑張って』ってメール、来た?」
「何で彼女からなんスか?」
「え?だって…」
そのストラップ………とあたしが言う前に涼太が、「あ、もしかしてこれッスか?」と顔の前でストラップを揺らして見せた。
「これ、デザインが可愛いから買ってみただけッス。」
「えっ?」
「確かにペアではあったけど……彼女とお揃いとかじゃないッスよ?ま、軽く厄よけにはなってるんスけどね。」
「………あ………そう…。」
予想外の言葉に唖然としていると、涼太が制服のポケットから何かを取り出した。
「手、出して。」
「?」
「はい、これもう片方。あげるッス。」
掌の上に載せられたのは、ピンクのラメストーンが埋め込まれた、ハートの片割れがついたストラップ。
涼太の携帯についているものと、対になっているものだった。
「いいの?あたしがもらって……」
「いいんスいいんス!!」
「ありが……」
「あ、でも1つお願いがあるッス。」
涼太はあたしの耳元に口を寄せて、そっと囁いた。
「俺と、付き合って下さい。」