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□寂しがり
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「も〜……名無しさんちん、泣きすぎだよ。」
「だ……だっで〜……」
ずっと一緒にいた敦が、3年間も遠くにいるというのはやっぱり寂しくて仕方がなかった。
バスケのスポーツ推薦で秋田に行くことになったと聞いたときは、「すごいね!」なんて話してたけど、いざ敦が秋田に行くことを考えると、どれだけ寂しいのか検討もつかなかった。
「たまにはこっち遊びに行くから?ね?」
「でも〜………」
敦は湿っぽいのは嫌いだし、泣いて困らせたら悪いと思って見送りは笑ってしようと今日は来たけど、いざ駅について、大荷物を持つ敦の姿を見ると、急に事実が現実味を帯びてきて、途端に涙が溢れてきた。
「ちょっとの間だから……たった3年だって…」
「………」
すると、敦は顔を覆って泣くあたしの手を引き剥がして、そっとキスをした。
「これから何十年も一緒にいるんだから、3年くらいなんでもないって〜…」
「え……?」
すると、引き剥がした手に何かを握らされた。
「それは、厄除け。俺だって3年も名無しさんちんと離れてると、色々心配だからさ。」
握った手を開くと………
「あ、ヤベ!!もうすぐ発車する。行かなきゃ。じゃ、またね。」
敦は駆け足で、JRに乗り込んだ。
ドアの窓から笑顔でこっちを見て手を振る敦に、あたしもつられて笑って手を振り返した。
薬指に指輪をつけた、左手で。