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□愛じゃ世界は救えない
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落書きだらけの黒板。
ぼろぼろになった床。
破損した机や椅子。
天井のない、教室。
その中心で向き合う2人の男女。
「っ辻!あの…っ」
「 東?」
「い、1回しか言わないからっ…!ちゃんときいててよね!」
「? おう」
「あ、のね…」
ーーーーすき、なの。
「は………?」
「〜〜〜〜っ」
「ちょ、東いまのもっかい「1回しか言わないって言ったでしょっ!!!」あ、ワリィ…」
「っもう!辻の馬鹿!」
「だって、信じらんねーんだもんよ」
「こ、こここんな恥ずかしい嘘つくわけないでしょ!馬鹿!」
「あ、そ、そうだよな…」
「もう…やっぱり言わなきゃよかった…!」
「っなんでそんなこと言うんだよ!」
ーーーー嬉しかったのに。
「……………え?」
「…だから、」
俺もお前が好きなんだよ、東。
「……………嘘………」
「でもな、東」
「何…?」
真っ赤な顔で震えている東を思いっきり引き寄せて、耳元でいう。
「っちょ、辻、何して…っ」
「愛じゃ世界は救えない」
「…………………え」
「愛じゃ、何ひとつとして、救えないんだ」
「…なに、いって」
「東」
ーーーーごめん。
灰色の空が、今にも泣きだしそうだ。