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□レモンヱロウの孤独
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黄瀬涼太は孤独だった。
「…つまんないっスねぇ」
屋上で転落防止用の柵にもたれながらひとりこぼす。
彼の言葉は、誰にも届かない。
ー刹那、
がしゃんっ
「ーーあ、」
彼の檸檬色の瞳が驚きに見開かれる。
突然の浮遊感。
重力に逆らっている身体。
遠くなっていく青空。
たった今まで自分が存在していた場所が、みえなくなっていく。
そうして、意味をなさなくなった転落防止用の柵とともに、灰色の地面にむかって、真っ逆さまに、ーー落ちた。
いつもとは違う余裕のない黄色い叫声
がやけに五月蝿い。
俺は、孤独だ。