Snow Princess
□a
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“ついてない”
今日1日をひとことで表すとしたら、この5文字になるのは明らかだった。
だって本当にその通りなのだ。
目覚まし時計が壊れていたせいで朝から寝坊したし全身全霊で登校した暁には朝会のためギリギリ遅刻だったし苦手な数学で先生にあてられて何を思ったのか大きな声で「めしべ」と答えたし昼ご飯を買いに購買に行ったら財布をすられたし6限の体育ではみんなの前で派手にすっころんだし。
ついでにたった今起こったことをつけたすと、いつも乗っている自宅(といっても古びたアパートの一室だが)方面の電車が目の前で発車していったこともだ。
ああ、ほら、言い出すときりがない。
空を見上げると、何かたくさんの白いものがはらはらと舞い降りてきていた。
「…ついてなさすぎだろ、さすがに…」
それに、あの電車は確か1時間に1本しかなかったはず。
「あああああもう!!歩いて帰ればいいんだろう!歩いて帰れば!!」
半ばキレかけながら導き出した結論に従い、溜め息混じりの唾を吐き出してから駅のホームを後にした俺であった。
真っ暗な空は、相も変わらず白いものをちらつかせていた。