小説
□安全運転で行こう
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「ギイ、見て!」
家に帰って来た託生が、嬉しそうに見せてきたカード。
「運転免許…?」
「いつもドライブする時ってギイが運転するだろ?それじゃ悪いなってずっと思ってて…教習所にこっそり行ってたんだ」
託生のその言葉に、オレは少し驚いた。
「託生、英語苦手だったよな?」
そう、ここはアメリカ。
英語があまり得意ではない託生が一人で免許を取りに行く、なんて、暮らし始めた時からでは考えられない行動を起こしたのだ。
驚かないわけがない。
「…ギイ、それってぼくを馬鹿にしてる?大学とかで日常的に英語を話してたら、嫌でも喋れるようになるよ」
大変だったんだな、託生。
表情がそれを物語っていた。
「託生、成長したなあ」
「ギイのおかげでね」
苦笑交じりに答えた託生。
「それで、いつでもいいからギイが休みの日に…ドライブに行きたいなって」
恥ずかしそうに言う託生に自然と頬が緩み、
「ああ、行こう」
「よかった。あ、ぼく荷物片づけてくるね」
部屋から出ていった託生を確認してから、電話を掛けた。
「島岡。悪いが、明日の予定を来週に変更出来るか?…ああ、丸一日」