小説

□友達以上、恋人未満。
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ぼくとギイの部屋、305号室。


そこでぼく、こと、葉山託生はとても困っていたのだ。


「ギイ、あのさ…」



「ん?どうした、託生?」


ベッドの上でぼくが絶対に読めないであろう英語の本を読んでいたギイが本を閉じてぼくを見た。



ぼくが今不安なこと。



それは、ギイに告白され、付き合いだしたぼくらの間には、言葉にするのが難しい“壁”があることだった。




まさしくそれはぼくの、人間接触嫌悪症…なのだろう。




ぼくがぼく自身を守るために作った壁をそう呼んだギイ。




ぼくを一番理解してくれていたギイと付き合った今でも、無意識の内に壁を作ってしまう。



怖いのだ。



時々、兄さんとギイを、重ねてしまう。



どうしても、少し距離をとってしまう。



それでも、そんなぼくだというのに、ギイは普通に接してくれる。



普通に、“ぼくが人と会話出来るくらいの間隔を開けて”話してくれる。




だから時々、いや、かなり…不安になる。
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