小説
□嫉妬警報発令。
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日曜日、快晴。
ぼくはギイと赤池くんと、麓まで降りていた。(ギイ曰く、これはデートらしいけど)
「オレと託生のデートにどうして章三が着いて来るんだよ」
少し拗ねた様子でギイが文句を言う。
「あのな、ギイ。誰が好き好んで男同士のデートに自ら付き合う奴がいる」
呆れ顔で赤池くんが答える。
「最初は僕と葉山とで麓まで文具を買いに来るつもりだったんだぞ。それに割り込んで入ってきたのはギイのほうだろ」
その通り。
ぼくは消しゴムとノート、赤池くんは迷子になってしまうぼくの付き添いで来てくれたのだ。
なのに、今ではギイもいる。
嬉しくないわけではないけれど…
「ねぇ、あの人格好良くない?」
「もしかして祠堂の崎さん?」
ギイと並んで歩くと、いつも注目されるんだよ!!
そんなぼくの思いも露知らずギイは、
「オレがいちゃ邪魔なのか?託生。第一、そういうのは恋人のオレが着いていってやるのに…」
「ちょっ、ギイ!!」
ここは祠堂ではない。
ぼく達の関係は滅多にあるものではないのだから、時と場所を考えていただきたいものだ。
「ハァ…葉山も葉山だ。恋人の躾くらい自分で何とか出来ないものかね?」
ふざけ半分、呆れ半分で赤池くんが溜め息をつく。
「躾って言われても…」
そうしてぼく達が歩いていると突然。
「…たっくん?」
「え?」
正面から声をかけられた。
目の前には自分と同い年くらいであろう女子高生。
「やっぱり!たっくんだ!!」
嬉しそうにしている彼女なのだが、ぼくの記憶には全く無い彼女の顔。
「えーっと…どちら様、ですか?」
差し支え無いように応える。
「忘れちゃったの?まぁ、しょうがないか。彩美だよ、二階堂彩美」