小説

□安全運転で行こう
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「じゃあ、行くね、ギイ」


「ああ」



そう言うと、思い切りアクセルを踏む託生。




「託生!そんな思い切り…!」



オレの言葉が聞こえないのか、上機嫌でドライブを続ける。




カーブを曲がろうとした託生だったが、速度を落とさないままハンドルを切る。



当然、乗っている方も体が持っていかれてしまうわけで。




「危ないだろ、託生!」



「大丈夫だよ、ギイ〜」



にへら、と笑う託生。




悪意は無いのだろうが、あまりの危なさに心臓がバクバクと鳴っている。



どうしてこんな運転で免許が取れたのかと、オレは本気でそう思った。





それからも危険極まりない運転をした託生が、前を走っていた車にぶつかりそうになり、慌ててブレーキをかけたところで…








「…ギイ、大丈夫?」



「……託生?」


不安そうにオレを覗き込んでいる託生が目の前にいた。




「うなされてたみたいだから…悪い夢でも見た?」




夢?


オレが今まで見ていたのは、夢だったのか?




辺りを見回すと、いつもの寝室で、外はまだ暗い。




オレは内心ほっと溜め息をついた。



あれが現実だったら…





「…託生」



「どうしたんだい、ギイ?」








「絶っ対、安全運転を心がけるんだぞ!」








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