私の愛する騎士様は
□五話
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「・・・分かりました。」
「今は、万生殿の言うとおりにします。」
今は、という所をソードに強調されたけど、とりあえずは言うことを聞いてくれるみたい。
「ありがとう、二人共。さあ、頭を冷やして。とりあえず部屋に入りましょう。」
そう言って部屋に入ろうとすると、ドカン!とすぐ近くで壁の壊れる音がした。
「万生殿!すみません、やはり様子だけでも見に行って来ます!」
「俺も行って来ます!」
ソードとブレイドは返事も待たずに駆け出してしまった。
も〜・・・。
あんなに頭に血が上った二人、ほっとけないよ・・・。
あんなんじゃ・・・冷静な判断なんて出来ないし、戦いにおいて、冷静な判断が出来ないことは死を意味する。
ようは・・・死亡フラグ。
今考えると卿の発言も死亡フラグだったな・・・心配だ。
まったく、ソードもブレイドも卿のことになると熱くなるんだから・・・。
よろしい。
三騎士が死亡フラグを立てるというなら・・・私はフラグクラッシャーになりましょう!
私は先ほど壁が壊れた音のした方に駆け出した。
途中で少し後ろを振り向いて叫ぶ。
「フーム!カービィ達をお願いね!」
「分かったわ!万生も気をつけてね!」
そして、魔獣のいる現場で私が見たのは・・・。
「・・・?卿?」
仮面に何か刺さっていて倒れている卿と、その卿を抱き起こし、何か声を掛けているブレイド、その二人を守るように戦っているソードだった。
すぐさまブレイドのもとに行く。
「ブレイド!卿は!?」
「・・・この牙が原因のようです。」
そう言って、ブレイドは刺さっている牙を指差した。
「死んでないよね!?」
上擦った声で聞いた。
「ええ、ですがこのままだと卿は一生、動くことも、声を出すことも出来ません。」
「それじゃ・・・死んでるのと変わんないじゃん!」
でも・・・今はここで騒いでいる場合じゃない。
三騎士の部屋に移動しよう。
話はそれからだ。
「ソード!一度部屋に戻ろう!ブレイドも、早く行って!卿は私が運ぶから!」
言いながら卿をおぶる。
「運ぶなら俺がします!だから万生殿こそ早く!ソードが足止めをしますから!」
ブレイドが申し出るが、
「いいの!後で目を覚ました時に貸し一つって言ってやるから!」
と言って断った。
この間のユーレイ騒動で散々人をからかったお返しだ。