私の愛する騎士様は

□十六話
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一方その頃・・・。





「大変よ!」


「ぽよ〜!!!」


騒がしい声と共に部屋に入って来たのはフームとカービィだった。


だが、カービィと一緒に散歩に行ったはずの万生の姿が見えない。


胸騒ぎがした。


「どうした?また陛下が魔獣を呼んだのか?」


自分でも、薄々違うとは思っていた。


そして、胸騒ぎの正体を知る。


「万生が・・・。」


「万生に何かあったのか?」


あくまで、表面上は冷静を装う。


私までパニックになってしまっては話が進まない。


「万生が!消えちゃったの!」


「万生が・・・消えた?」


よく理解できずにオウム返しする。


「そう・・・川原で・・・万生が、どんどん・・・薄くなって・・・。」


フームは涙目になっている。


それでも必死に涙をこらえているのが分かった。


カービィも暗い顔をしている。


部屋には沈黙が漂った。


その沈黙を破ったのは、ブレイドだった。


「卿、どうなさいますか・・・?」


普段よりも遠慮がちな声。


きっと私に気を遣ってくれているんだろう。


だが、どうすればいいか・・・私には分からなかった。


私らしくもない。


頭が混乱して・・・何も考えられない。


私の頭には・・・ただ・・・。


“万生が消えた”


この事実だけがハッキリと残るだけだった。


「・・・卿?大丈夫ですか?」


黙っている私を心配してか、ソードが顔を覗き込んできた。


「・・・すまない、大丈夫だ。図書室へ行って調べてみよう。」


私とソード、ブレイド、フーム、カービィは図書室に向かった。


何故だかギャラクティックナイトは部屋に残っていたが・・・今はそんなことを気にしていられない。


ただただ万生が心配で・・・。


ただただ万生に会いたかった。
 

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