I want to protect you
□十六章
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「カスタマー。お願いがあるの。もう一度、マナトに会わせて。」
風邪も完治した、とある日。
見たくもない顔と画面越しに対面しつつ、下げたくもない頭を下げる。
「はて?何故ですか?」
「・・・会って、もう一度決意を固めたい。私の一番はマナトであり、マナトを守るために、私は犬にならなければならないと。」
「・・・最近決意が揺らぎ始めたと?」
「・・・・・。」
厭らしい笑みを濃くし、カスタマーはマナトに会うことを了承した。
もしかしたら、あいつは分かっているのかもしれないわね。
通信を切り、城に向かう。
稽古を休むと、メタナイト卿達に伝えるためだ。
「メタナイト卿。リマナです。」
ノックをし、三騎士の部屋に入る。
三人はテレビを観ていた。
「リマナか。体調はもういいのか?」
彼は私の方を向いて問う。
「はい。先日はお世話になりました。それで、今日の稽古もお休みをもらえますか?」
メタナイト卿の目が鋭く光る。
「構わないが・・・やはりまだ本調子じゃないのか?」
「そんな・・・ところです。失礼します。」
私はあまりその場にいたくなくて、足早に部屋を出た。
背中で、彼の引き止める声が聞こえた気がした。
宇宙船に戻り、早速発進させる。
三度目くらいになる宇宙の景色。
そして・・・ナイトメア要塞。
宇宙船を泊め、カスタマーに会いに行く。
何度見ても、その等身は不釣合いだ。
「カスタマー。」
「ああ、きましたか。では参りましょう。」
さっさとマナトのいる部屋へと歩いて行くカスタマーの少し後ろを歩く。
「・・・・・情が湧きましたか?あの星の人間、いや、メタナイト卿に。」
「そんなことない!」
とっさに声を荒げてしまう。これではそうですと言っているようなものだ。
「ほっほっほ・・・。構わないんですよ?仕事さえして頂けたら。」
「・・・情が湧いたらアンタの言う仕事なんてできっこないでしょ。」
思っていたよりも低い声が出る。
「よくお分かりで。貴女はマナト君を助けたい。私はメタナイトとカービィを消したい。ギブアンドテイクです。これからもよろしくお願いしますね。」
何がギブアンドテイクだ。そもそもコイツがマナトに変な首輪をつけたのだ。それさえなければ、こんな奴に協力なんてしない。
「・・・あの首輪の効力をなくす条件、もう一度教えてくれる?」
「構いませんよ。まず、貴女が今やろうとしていること。私達の犬となり、最終的にメタナイト卿とカービィを消すことを目的としたスパイ行動をとる。そうすれば、目的を達成した時はずして差し上げますよ。」