I want to protect you
□十五章
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・・・やってしまった。
朝。手元の体温計を見る。
38.7℃
まさか、あれから数日間三騎士の看病をしていたからといって、自分が風邪をひくことになるとは思わなかった。
本当に、私馬鹿ね・・・。
ミイラとりがミイラになってしまったというべきか。
ああ・・・情けない。
頭は痛いし、身体はだるい。寒気もする。
今日はこのまま寝ているしかないと思い、私はもう一度目を閉じた。
「リマナ!いるか?」
ノックの音と私を呼ぶ声で、私は目を覚ました。
声の主は分かっている。
「今開けます。」
けだるい身体を無理矢理起こして外へと通じる扉を開ける。
「リマナ、どうし・・・風邪か?」
目の前には仮面の騎士。
少し驚いたような顔をしている。
まあ、あれだけ流行っていた時期にならずに遅れてかかったのだから珍しいかもしれない。
「はい・・・。すみません、朝から体調が優れなかったものですから。今日の稽古はお休みしてもよろしいでしょうか?」
「当たり前だろう。むしろやると言われても休ませる。」
「ありがとうございます。では・・・。」
「ちょっと待て。今度は私が看病しよう。」
扉を閉めようとした瞬間、鋭い声で言われる。
その目は使命感・・・というかなんというか、その類の感情を燃やしていた。
もしかして、気にしているのかしら。
こちらとしては、正直困る。
カスタマーから通信が入ったりしたらアウトだし、一応纏めた報告書などもある。それに何より・・・。
これ以上、決意を揺らしたくない。傷つくのもごめんだ。
「いえ、気持ちは嬉しいのですが・・・またうつったりしたら大変ですし、遠慮しま「駄目だ。リマナは一人暮らしだろう?一人じゃ何かと不便だ。」
・・・こうなったこの人は、私のいうことなど聞いてはくれないだろう。
「・・・分かりました。でも、何もしなくて平気ですから。」
一応こう言った・・・が、恐らく何かするんだろうな・・・。
彼を宇宙船の中に招き、私は再びベッドに横になった。
「朝食は摂ったのか?」
「・・・いいえ。」
「ふっ・・・私達には無理矢理摂らせておいて、自分は摂っていないのか。」
摂らなければ、とは思っていたのだが、今の状態で起き上がって何かを作るのは至難の技だった。
ようは、無理だったのだ。
そんな言い訳がましいことを考えていると、メタナイト卿が私に近づいてきた。
「熱は・・・。」
そう言いながら、彼は私の額に手を伸ばした。
距離が・・・近い。
しばらく手を当ててから、ふむ・・・と言うと、彼はキッチンへと歩いていった。
何事もなかったように。
やはり、意識しているのは私だけなのか。
・・・いや、それでいい。
彼に求められたら、突き放せる気がしない。
その程度には、想ってしまっている。