I want to protect you
□十三章
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「どうでしたか?何か分かりましたか?」
例の戦艦を見つけてから数日が経った。
カスタマーから通信が入り、メタナイト卿が隠していることについて問われる。
・・・私は答えに迷った。
気持ち的には言いたくない。それに、最悪私から何も情報が得られなければ馬鹿陛下を使って調べさせるだろう。
でも、嘘が見抜かれればマナトが・・・。
唇を強く噛み、カスタマーのムカつく顔を見た。
相変わらず寒い笑顔を浮かべている。
「・・・戦艦を建設していたわ。」
あえて、近々戦うことになるとは言わなかった。
これぐらいの反抗なら・・・許されるでしょう?
「そうですか・・・。では、引き続き注意して下さいね。」
珍しく何か考え込むようにして通信を切った。
まあ、戦艦を所持しているなんて報告がきたら少しは考えるわよね。
きっとまた魔獣でも作るんだわ。
カスタマーと話して疲れたし、もう寝ようと思ってベッドに腰掛ける。
その時、夜空に光る物体が走ったのが目の端に映った。
そして何かが落下した音。
何か来たのね・・・。
こういう時はだいたい城に行けば状況が分かる。
溜め息をつきながら、私は城に向かった。
城に着いて、まず聞こえたのが銃を発砲する音。
マシンガンが何かかしら?
その音に続いて少女の怒ったような声が響く。
「どこに隠れた!メタナイト!」
どうやらメタナイト卿を探している侵入者がいるみたいね。
廊下を歩いていると、フーム達と出くわす。
「フーム。この騒ぎは何ですか?」
「リマナ!それが・・・私にもよく分からなくて。」
フームも困惑顔だ。
「ね、姉ちゃん・・・。」
近くにいたカービィとブンが後ろ向きでこちらに迫ってくる。
二人を追い詰めるようにして出てきたのは、白い髪の少女だった。
「貴女は誰?」
フームが睨みながら聞いた。
「私はシリカ。」
「メタナイト卿が狙いなの?」
フームの質問は止まらない。確かに分からないことだらけだしね。
「私は奪い返しに来ただけだ。メタナイトの剣・・・ギャラクシアを!」
メタナイト卿の剣・・・珍しい形だとは思っていたけど、そんな名前だったのか。
「一体何者!?メタナイト卿にそんなこと言う権利あるの!?」
フームは喰って掛かった。
シリカはそんなフームを馬鹿にしたように笑う。
「随分信頼しているんだな・・・卑怯な殺人者を。」
殺人者・・・。どういうことだろう。
シリカの話によると、メタナイト卿とシリカの母ガールードは宝剣ギャラクシアを魔獣キリサキから奪還するために赴いたそうだ。
そして、ガールードがギャラクシアを奪還した時、キリサキがガールードを攻撃し、メタナイト卿はギャラクシアを持ってガールードを見捨てて逃げた、と。
フームもブンも嘘だ嘘だと騒いでいる。
私は、シリカが嘘をついているようには見えなかった。
ただ、誤解をしているのだと思う。
そして・・・メタナイト卿はその誤解を敢えて解くことはしないのだろう。
そういう人だ・・・あの人は。